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「日本人が買い負けする悪い円安を阻止せよ」

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.04.23

新年度となり、新入社員研修や講演、お客さまの経営方針発表会参加などのために、大阪、京都、松本、金沢などに出張しましたが、どこでも外国人の多さに驚かされます。3月の訪日客数が月としてはじめて300万人を超えるという報道がありました。オーバーツーリズムの問題も指摘されていますが、それだけでなく、原材料などの輸入物価の上昇も懸念されています。この原稿を書いている時点で154円まで達した円安が大きな原因です。
オーバーツーリズムからお話しすると、先日訪れた京都では、リーズナブルな値段でホテルをとることすら難しくなっています。ちょうど桜のシーズンと重なったこともありますが、かなりの料金を支払って京都駅近くのホテルに泊まりました。初めてのホテルだったのですが、泊っている人のほとんどは外国人で、100名ほど入る朝食会場も、白人の団体客で一杯でした。
前日にお客さまと行ったリーズナブルな価格の焼肉屋さんも、ほとんどが外人客です。外国人の家族が、スマホで予約画面を見せながら入店しているのが印象的でした。日本人が「買い負け」しているのを否が応でも感じます。
その前日に、当社主催のセミナーのために大阪でリッツカールトンに泊まりましたが、朝食会場では私以外は全員が外国人でした。ホテルは外国人客が増えたこともあり、どこも強気でかなりの値上げをしており、日本人が泊まるにはかなりの負担となりますが、この円安では外国人から見ればリーズナブルプライスに映るのでしょう。ここでも日本人は「買い負け」状態です。
少し前に、アメリカをビジネスのために訪れた当社のお客さまが、地方都市のホリデーインが1泊700ドルほどだとおっしゃっていました。ホリデーインはそれほど高級ホテルではありませんが、今のレートなら10万円を超えています。それに比べれば、日本の高級ホテルやレストランは外国人から見れば格安です。
先日、テレビでゴールデンウィークの旅行先のインタビューをしていましたが、街頭インタビューを受けた複数の人が、「海外にはとても行けない」と言っていました。今の相場では、海外旅行はとてもお高く感じます。
もちろん、それだけではありません。原材料費やエネルギーコストがやはり円安のせいでじりじりと上がっています。大企業ならまだそれを吸収する余地がある程度はあるかもしれませんが、中堅・中小企業にはかなり厳しいものがあります。
一方、海外で活躍する大企業などでは、円安で利益額の円換算が増えて良いのですが、ただ、そのもうけが日本に還流されず、海外にとどまるという問題も指摘されています。
日本経済はやはり日本国民の幸せや満足度を最優先するべきではないでしょうか。外国人に「買い負け」したり、日本人の負担が増すような経済政策は許されるべきではないと思います。
とくに日本銀行には、介入などの小手先の方法だけではなく、マイナス金利解除に続き、金利水準をある程度「正常」に戻すことで、円安を阻止してもらいたいと心より願っています。

【小宮 一慶】


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