私は経営成功のためには「原理原則」があると常々多くの人に講演などで話しています。その原理原則は、大企業だけに通用する、あるいは中堅・中小企業だけに通用するというものではなく、すべての企業に適用できるものでなければなりません。
そして、その原理原則は、松下幸之助さんや稲盛和夫さんなど多くの成功された経営者やピーター・ドラッカーのように経営の神髄を見極めた人たちが、言葉は違いますが同じように語っているものです。
今回は、その原理原則についてお話をしましょう。
まず、経営者が高い志と使命感を持つことです。経営を行っていく上で、自社を通して何を成し遂げようかということです。企業で言えば、「目的」、「ミッション」、「パーパス」と呼ばれるもので、存在意義です。「社会をより良くする」、「業界を革新する」、「働く人を幸せにする」などです。
そして、その志や目的は、多くの人が支持してくれるものでなればなりません。経営者の私利私欲が目的では、お客さまや社会、社員は同調してくれるということはないでしょう。
多くの人は、私同様、聖人君子ではないので私利私欲をなくすことは難しいと思います。しかし、高い志や目的を掲げ、それを実践していったほうが、間違いなく業績も上がり、結果として多くの利益を得ることができます。結果として富や名声を得ることは、私利私欲ではありません。
次は、高い目標を持つことです。「目的」や「ミッション」は、存在意義ですが、「目標」は、具体的な姿です。到達したかしないかが分かるものです。たとえば、「業界で日本一、世界一になる」などです。
目標の最上位に来るのが「ビジョン」です。企業の目指すべき将来像です。それに向かって社員全員が力を合わせて全力で取り組みことが必要です。「そんなこと理想像」だと思う方もいるでしょうが、経営者や幹部がそれをどれだけ本気で「思う」ことかにかかっています。そのためにも、先に説明した「目的」に多くの社員が共鳴してくれることが大切です。
多くの会社や人を見てきましたが、目標が達成されない大きな原因の一つは、目標を忘れることです。忘れないための工夫も必要です。目的や目標を朝礼で読み上げるなどの工夫も必要です。
また、目標は売上高や利益のことも少なくありませんが、なぜその売上高や利益が必要かの意味を経営者はきちんと説明しなければなりません。そういう意味をきちんと説明していないと、経営者の私利私欲のためと思う従業員も出てくるからです。
一方、毎年の経営計画も精緻なものを作らなければなりません。私は3年計画を毎年立て、その1年目を行うことを薦めています。この時代3年もつ経営計画を立てるのは至難の業なので、3年計画を毎年立て、その1年目をとにかく必死でやり続けることが大切だと思っています。
そして、稲盛和夫さんではないですが、これらの「目的」や「目標」を達成するために、「誰にも負けない努力」をすることが必要です。「誰にも負けない努力」とは「自分なりの努力」とは違います。世間が認めてくれるようなアウトプットが出るレベルの努力をしなければなりません。
私は「なれる最高の自分になる」ということをよく話しますが、世間が認めてくれるようなアウトプット、さらに言えば、今までになかったようなアウトプットを目指して、経営者も従業員もなれる最高の自分を目指すことが大切だと思います。
そして、「正しい考え方」を持つことです。私はセミナーなどで「何千年もの間多くの人が正しいと言ってきたことを学んでください」とお願いしていますが、普遍的な正しい考え方を持つことがすべての土台となることは言うまでもありません。