”If it ain’t broke don’t fix it.”
「壊れていないものを直すな」という英語のことわざがあります。
コンサルティングをする上で大切にしていることの一つです。直すのではなく、どうやって活かすかを考えるようにします。
このことわざ、意味を改めて調べてみると「うまく行っているものをいじるな」とか「余計なことをして失敗すること」などとあります。少し捉えていた意味と違うなと感じました。どちらかといえば、私たちは「壊れている」と捉えがちだと指摘しているのだと解釈しています。
誰かを良くしようと思うと欠点に目が行くことがあります。あきらかに考え方が後ろ向きだったり、自分のことしか考えてなかったりしたら、それは率直に指摘するべきでしょう。ただ、後ろ向きだったり、自分のことしか考えていなかったりするのもその人なりの理由や考え方があってのことです。それを踏まえないとこちらからのフィードバックは聞き入れてもらえません。
みなさんは、誰かにフィードバックしようとするとき、その人が成れるであろう姿を描けているでしょうか。過去どのようなことを経験してきて、いまどのようなことをしているのか。どんな特徴があるのか。十分に理解しようとしているでしょうか。
この人にはこんなポテンシャルがあるのではないか、そういうまなざしで相手を見た時にはじめてその人にとって価値のあるフィードバックができます。ところが、その姿を描けないと、今見えている欠点しか指摘することができません。でも、私たちに誰かを直すことはできないし、する権利もありません。
フィードバックを受け取る側に立ってみるとどうでしょう。他人からの指摘を素直に受け取るのはこれもまた難しいものです。よく言われるのは、フィードバックをプレゼントのようなものとして受け取るということです。「この色は自分では選ばないけど、せっかくもらったし着てみるか」と試してみたら、自分の意外な面が見つかったりします。
同じように相手にとって、「(あなたは選ばないと思うけど)これが似合うと思う」とフィードバックすると良いのです。これは、相手のことをよく知ろうと努め、前向きにその人の未来の姿を描こうとしない限りできないフィードバックです。
そのようにして紡がれた相手への言葉は、きっとその人に勇気を贈ることになるでしょう。