最近、“DX(デジタルトランスフォーメーション)”という言葉を耳にしないことが少ないほど必要性が高まっており、DXの推進で悩まれている方も多いかと思います。多くの方と会話をする中で、私が特に気になっていることは、①人によって思い描いているDXの範囲が異なること、②DXが目的化していることです。
①DXの範囲
経済産業省の定義では、「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」、「デジタルトランスフォーメーション」と大別されております。簡単に言うと、順に、紙からデジタルへの移行、デジタルデータの利活用、ビジネスモデル自体の転換、と社内の土台作りから商品・サービスへと段階が上がっていくようなイメージです。
DXと聞くと、可能性が限りなく大きく感じるものですが、一足飛びにはいきません。まだこれからという会社では、デジタイゼーションから進めていくことをおすすめします。
②DXの目的化
ご認識している方も多いかと思いますが、DXは手段であり、目的ではありません。つまり、「何を使うか」ではなく、「何に使うか」を先に考えることが重要です。
英語やプログラミングなどでも同様ですが、できたら便利だろうけれど、活用シーンが明確になっていないものは、スキルを身につけることが目的化して、腰が重くなるものです。
「何に使うか」を決めるには、目的・機能・手段の観点で、より具体的な方向性を考えていくことが一助になるかと思います。
・目的(why):「業務の効率化」、「コスト削減」、「既存事業の付加価値向上」、「新規事業の創出」、など
・機能(what):調達、生産、営業、マーケティング、間接業務(人事・財務経理など)、など
・手段(how):具体的な技術・ツール(AI、IoT、RPA、クラウドサービス、など)
上記のような検討が進み、いざ取り組もうとするも、掛け声だけで終わってしまうケースもよく耳にします。成功の要諦として考えられるのは、「経営戦略と紐づけ、施策の意義付けを明確に決定・周知すること」、「効果が出るところから始めること」、「全体を巻き込んで教育を行うこと」だと思います。DXを単発の施策ではなく、常に取り組み続けるためには、一緒に学び、成功体験を積み上げていくことが重要だと思います。
DXとはそもそも何か、DXで成し遂げたいことは何か、第一歩として効果が出そうなことは何か、など自社での取り組みを考えるきっかけになれば幸いです。