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お客さまは来てくださらない

今週の「言葉」
2023.05.05

今週の言葉は、伊藤 雅俊(著)『商いの道 経営の原点を考える』 (PHP研究所) からの紹介となります。

 

■書籍『商いの道 経営の原点を考える』について

3月に亡くなられたイトーヨーカドーグループの創業者である伊藤 雅俊氏。一商人として、『誠実』という言葉を実践し続けた昭和が生んだ偉人。その伊藤氏が、自らの人生を振り返り、その経験の中で教訓として学び得た言葉がつづられているのが本書。経営の原理原則・エッセンスが凝縮されています。

 

■今週の言葉『お客さまは来てくださらない』

伊藤氏は、戦後間もない東京・千住で、お母さんとお兄さんと3人で羊華堂という洋品店を営んでいました。その際のお母さんからの教えがこの言葉でした。伊藤氏は、生涯この言葉を大事にされ、「お客さまがお店に来てくれることは、とても有難いことである。お客さまに喜んで頂く、また来たいと思って頂くお店作りをしていかなければならない」ということを経営の基本の考えとしていたと言われています。

 

■電話に「有難うございます」と受け取る理由

この話から私たちの会社が電話に出る際に「有難うございます」と受け取る理由の話を思い出しました。

 

代表の小宮は元銀行員で、そこから数社を経て経営コンサルタントとして独立をしました。顧客は当然いない状態からのスタート。創業者以外に2名の社員と会社を立ち上げ、数カ月たっても顧客がいない状態。家賃や社員の給与で資本金はどんどんなくなっていく。そんな中で感じていたことは、電話がならないこと。電話を頂けることがとても有難いことであるということをその時に身に染みて実感したと言います。その後、顧客が見つかり、順調に歩み出したのですが、その時の気持ちを決して忘れてはいけないということで、電話に出る際には「有難うございます」と受け取ることにしているのです。

 

「有り難い」は「有ることが難しい」=「当り前じゃない」ということ。「顧客から電話が来ること、顧客から仕事を頂けること、これらは当り前なことでない、有り難いことなんだ」という想いが込められていて、その教訓となっています。

 

■治にいて乱を忘れず

これらの話から共通している考えは、「順調なときにこそ、厳しかったときの教訓を忘れるな」ということだと思います。古典にも同じ意味合いで「治にいて乱を忘れず」という言葉があります。

 

私もそうですが、順調に行き始めると大変だったときのこと、うまくいかなかったときのことをどうしても忘れがちです。そして、忘れるとどうなるか。同じような過ちを犯してしまう。さらに言えば、取り返しのつかない過ちにつながってしまうことも少なくありません。

 

裏を返せば、「厳しいとき・大変なとき」には意味がある。そこから学ぶことがある。それが、会社を、自分を成長させ続ける教訓となる可能性があると言えると思います。

 

大変な時も順調な時も一喜一憂せずにいきたいものです。


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