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成果目標だけではなく「学習目標」も設定する

経営のヒント
2023.05.12

ドラッカーの言葉に「経営者は指揮者であるとともに作曲家である」という言葉があります。

 

音楽は、楽譜をもとに演奏されます。また一方で、楽譜があっても人を感動させるような音楽になるとは限りません。同じように経営も戦略を具体化した経営計画が必要です。また同様に、計画があっても各自の創意工夫がなければ進歩がありません。

指揮者は、それぞれに適切な要求を伝え、演奏を仕上げていきます。それはコンサート本番だけの話ではなく、リハーサルを通じて行われます。リハーサルは、楽譜の解釈をすり合わせ、オーケストラに指揮者がフィードバックをしながら作り上げていきます。オーケストラのメンバーそれぞれは、普段から鍛錬をして腕を磨いています。その鍛錬した力の総計を超えることに、オーケストラに参加する喜びがあるのではないかと想像します。

 

経営者の場合、指揮だけではなく、作曲もします。つまり、実行を振返り、戦略を描きなおすこともできるわけです。

この際、単に成果が得られたかだけではなく、「何を学べたか」という視点が大切です。むしろ、計画時やそのアップデートの際に成果の目標だけではなく、例えば、若手のリーダーシップを開発するなど、具体的な学習目標を持つことが必要です。成果目標はあるものの、学習目標がないケースは案外多いものです。結果に一喜一憂するだけで、深い内省ができていないために、成果目標だけが上方修正されるケースが多いように思います。これでは、ただ計画の期限が書きなおされるに過ぎず、同じことが繰り返されるだけです。

 

経営の場合、音楽と異なるのは、外部環境の変化に大きく影響を受ける点です。このコロナ禍もそうでしたが、想定外はいつでも起こります。その想定外に対応するためにも目標や計画が必要です。それがないと立ち返るところないからです。

お客さまの中期経営計画の策定や実行をご支援していると、計画通りにいかないことが出てきます。そのとき、実行を振返り、次の手を考えていくわけですが、安易な目標の下方修正は避けています。

できない理由はいくらでも出てくるものです。やるためにどうするかと試行錯誤を積み重ねることで組織能力が高まります。経営者は指揮者であり、作曲家でもありますが、安易に曲を書き換えてしまっては、いつまでも理想の音楽、つまり事業にはなりません。

 

組織は戦略に従うのか、戦略が組織に従うのか、ときに議論になりますが、両輪で進んでいくものです。そもそも、戦略も組織も企業の目的を達成するための手段です。戦略が目的のように捉えられがちですが、そうではありません。お客さまを喜ばせ、そこに働く人々が働く喜びを感じる。そのような目的感を持って戦略を描き、実行を組織と共に振返り、学ぶことが経営の本質です。

 

そのようにして、自身も組織も学んでいくことができている会社はやはり強いです。なぜなら、外部環境の変化を世の中の発展だと捉え、素直に学び続けることに喜びを感じているからです。


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