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頭だけもってきてくれればいいよ

今週の「言葉」
2023.08.22

15年以上前、20代後半の筆者が仕事でかつて仕えていたボスから言われた言葉です。今でも鮮明に覚えています。

 

プロジェクト型のワークスタイルの組織で、同じプロジェクトで仕事をしていました。

あるとき、部下である筆者に相談したいことがあるようで、打ち合わせに呼ばれました。実務担当者である私は当然、「事前に検討しておくべきことはありますでしょうか」や「○○や△△の資料をお持ちしましょうか」、当時はまだノートパソコンが一人一台配布されていない時代で、「ノートパソコンの準備は必要でしょうか」などと打ち合わせの準備について訊ねます。その返答として冒頭の言葉を言われました。

 

率直に嬉しく、そして、慕う気持ち、これからもついていきたい気持ちがより強固になり、信頼関係・上下関係のステージがもう一段上がったと思いました。

あらためて振り返ってみて、コミュニケーション術として、2つのヒントを引き出せるものと考えています。

 

①「場・機会ד能力” → 成果 → 結果」で捉える

「褒めるのが大事」と言われたりもしますが、どの点を褒めるのか、褒める際に何に言及するのか、を考えたことはありますでしょうか。

場・機会は差配する立場の人が設定することが多く、本人の頑張りが作用するのは“能力”のところです。ここで言う“能力”は広義の意味であり、稲盛和夫さんの「成功の方程式」の3要素、「考え方×熱意×能力」です。

多くの場合、もたらされた数字・リターンである「結果」や、本人が取り組んだこと・アウトプットである「成果」に対して褒めるのではないでしょうか。

当時の私は若輩で、必ずしもお客さまを向いていたわけでも、組織貢献という成熟した思考を持ち合わせていたわけでもなく、ただ一方で自己開発意欲だけは高かったこともあり、“能力”特に“3要素の中の「能力」を評価してもらえたと感じたことで、冒頭の感情を抱いたのだと思っています。

今回の場合は3要素の中の「能力」でしたが、褒める際はより具体的に、その成果・結果に加えて、それにつながったどの“能力”が良かったのか、まで言及するとより良いのではないかと思います。

 

②相手の視点に立ち、本人が気に掛けている領域にこそ、特に言及する

上記①とも関連します。コミュニケーションを通じて、関係性を深める、さらにやる気を高めさせる、という目的もあるとするならば、相手の視点に立って褒めるのが効果的だと思います。対極で極端なことを言えば、そのときに本人が気に掛けていないことにいくら強く言及してもあまり響かないかもしれません。当時の私は成果・結果への意識は低く、他方で自己開発意欲だけが高く、その是非はともかくとして、ようはそういう内向き志向だったので、「能力」への言及が響いたのだと思います。タイミングや相手が違えば、「考え方」や「熱意」にこそ言及する方が響くこともあるでしょう。

これは、普段から相手に注意を向け、相手を知らないとなかなかに難しいことではありますが、同じくコミュニケーションをするのであれば効果的な方が望ましいわけですから、「本人が気に掛けていることは何か」という点も踏まえて実践していただけるとより良いのではないかと思います。


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