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人の強みを活かす人事考課―ドラッカー「経営者の条件」より

経営のヒント
2023.09.01

人の強みを活かす経営を実践することの大切さについては、今更いうまでもないことでしょう。
皆さまそれぞれに悪戦苦闘されているのではないでしょうか。

 本日は、ドラッカーの「経営者の条件」より、参考になる項目をピックアップします。
少し長いですが、人事考課(タレントマネジメント)についてです。

強みによる人事  人事考課制度

「人事においては、仕事が要求するものではなく、その人にできることからスタートしなければならない。ということは、人事のはるか前から、しかも人事とは関係なく、一人ひとりの人について考えておかなければならないということである。

―中略―

成果をあげるエグゼクティブは、彼ら独自の考課方法を工夫している。まず貢献の目標と実際の成果を記録する。その後、次の四点について評価する。

 

(1)よくやった仕事は何か

(2)よくできそうな仕事は何か

(3)強みを発揮するには何を知り何を身につけなければならないか

(4)彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか

   ―そうであるならなぜか

           ―そうでないならなぜか

 

この人事考課は通常のものよりも厳しく人を見る。しかし強みに焦点を合わせている。何をできるかからスタートしている。弱みは、強みを発揮し成果や業績をあげるうえでの制約としてのみとらえている。強みに直接関係のない評価項目は、最後の(4)のだけである。」

 

人の強みを活かした人事を行うために、日ごろから人の強みを評価しておく必要があるということです。
機会が生まれてから、はじめて人の強みを検討するのでは遅く、常に人の強みとその可能性、人柄を把握しておこうということです。

強みの実績として、(1)よくやった仕事は何か 
強みの可能性として、(2)よくできそうな仕事は何か
強みを活かすために、(3)強みを発揮するには何を知り何を身につけなければならないか
そして、人間性と真摯さをみるために、(4)彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか

 を人事評価のタイミングで検討しておくことが「強みによる人事」を実践する上で必要な人事考課であるということです。

経営をしていく中で、社会の変化に合わせて既存事業だけでなく、新たな可能性を探索する活動が求められます。限られた人材を、どのような機会に活かしていくか、その仕事がその人材にできることなのか、その判断をするための材料として、このドラッカーの人事考課は大変参考になります。今風の言葉でいうとタレントマネジメントということになるでしょう。

その中でも、(2)、(3)、(4)の項目は、普通のタレントマネジメント、人事評価では取り扱わない項目であろうと思います。

人事評価制度というと、等級の定義やランク付け、キャリアパスの標準イメージ、など一般的なイメージがあるかもしれませんが、人の強みを活かすためには、上記の強みによる人事考課項目を取り入れてみてはいかがでしょうか。 

環境の変化を機会と捉えて事業に活かすことが、経営として求められる時代になっています。
そのためにも強みによる人事、機会の追求は必須であると言えるでしょう。


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