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ビッグモーターは破綻処理をした後、新たなスポンサーのもとへ

小宮一慶のモノの見方・考え方
2023.08.22

ここにきてビッグモーターの命運にかかわる大きな動きがありました。三井住友、広島などの取引銀行が、先週末で期日がきた借入れ90億円の借り換えを拒否したのです。昨年9月末で約600億円あると言われているビッグモーターの借入残高ですが、銀行団が借り換えを拒否したということは、もう今後は貸さないということです。銀行としても、貸出しが回収不能となるリスクがありますが、ビッグモーターという加害者に加担するよりは、被害者になったほうが世間的にも良いと判断したものと思われます。
昨年度で売上高が5800億円、利益が数百億円あったと言われる同社ですが、このところは売上は激減していると報道されています。いまの状況では利益もキャッシュフローもマイナスに陥っていると考えられます。
現状で、ビッグモーターから中古車を買う人はいないでしょうし、修理に出す人もいないでしょう。中古車の買い入れに関しては、値段を少し高くすれば売る人はいると思いますが、中古車にローンをつけるリース会社も取引きを拒否する動きが出ており、広告を掲載する雑誌も広告出稿を拒否すると表明しています。事業のお先も真っ暗な状況です。
こういう状況で、銀行団が借り換えを拒否し、おそらく今後も高い確率で返済期日が来るたびに借り換えを拒否していくと考えられます。
今回の90億円の借り換え拒否については、ビッグモーターは数百億円あると言われる手持ち資金で返済したようですが、赤字の中、人件費や店舗維持費も毎月数十億円は最低でもかかると考えられ、さらにそれに銀行への返済も加わるわけですから、そう遠くない未来に資金繰りが行き詰まるものと考えられます。損保会社などからも取引きを切られ、まさに四面楚歌の状態です。
そうした中、ビッグモーターは大手コンサル会社の「フィナンシャルアドバイザリー部門」を雇ったと報じられていますが、通常はフィナンシャルアドバイザリーと言われる部門は、資金計画や再建計画を策定する中で、売却先(スポンサー)を探すことも少なくありません。とくに、今回のケースでは、業務改善の余地が少ないこと、このままでは資金繰りがつかないこと、兼重氏がコントロールするビッグアセットがビッグモーターの株式の100%を保有することなどを考えると、民事再生などでいったん破綻処理をして、ある程度利害関係を整理したうえで、スポンサーに譲渡ということになるのではないかと考えます。
その際には、信用力のあるスポンサーが必要です。ビッグモーターのブランドは地に堕ちており、スポンサーはビッグモーターの名前を使うことはないでしょうが、ビジネスを立て直すには、信用力がとてもあるブランド、例えばトヨタなどがスポンサーになる必要があるでしょう。ただ、ここまで地に堕ちた会社を引き継ぐかどうかも、とても難しい決断だと思います。いずれにしても、ビッグモーターはしばらく大揺れに揺れることは間違いないと思います。


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