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臆病な自尊心と尊大な羞恥心

知恵のバトン
2023.09.12

この言葉は、教科書にも多く採用されている「山月記」で出てくる言葉です。
あらすじを簡単におさらいすると、
・主人公の李徴は、能力は高いがプライドも高いことから役人の職になじめず、詩人として名を遺そうと一念発起し退職
・詩が全く売れず、家族のために元の役人に戻ったが、下っ端で働くことでプライドはズタボロになり、発狂して虎に変身
・虎になった李徴はまだ理性が残っており、偶然出会った友人の袁?に苦悩や後悔を告白し、完全な虎になる前に人間の尊厳を回復する物語

記事タイトルの「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」は、主人公が苦悩や後悔を告白する際に「虎になった理由」として語った言葉です。
臆病な自尊心とは、プライドが高いため失敗して傷つくのをひどく恐れる心理であり、尊大な羞恥心とは、自尊心を守るために他者との関係・コミュニケーションを拒絶する状態を表しています。
本来であれば、尊大な自尊心、臆病な羞恥心と、形容詞が逆になるべきですが、李徴の過剰な自己評価と、他社評価がついてこない不安から精神が屈折した結果、後戻りができないくらい歪んだ心理状態になってしまったということです。

このことは、あらゆるビジネスシーンでも当てはまることではないでしょうか。
たとえば、
・今までの実績から既存事業に対して誇りを有しているが、その誇りがいつのまにか過去の成功にしがみつく「臆病な自尊心」になり、変革が必要となっても自尊心を守ることが優先され、「尊大な羞恥心」から既存事業の方針転換や新規事業への挑戦を拒絶し、結果として気づいたころには業績が悪化
・今までは営業成績トップだったが、環境変化から徐々に業績が落ちていることを感じつつ、できる自分を保ちたい。できない自分を受け入れるのが怖いため、「自分はこんなもんじゃない」と周囲に高圧的な態度をとってしまう
など
皆さんも、このように気づかないうちに「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」に囚われていないでしょうか

不確実性が高まっている現在においては、既存事業の効率化ではなく、新規事業に挑戦する姿勢がより強く求められます。「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」に囚われずに、果敢に挑戦するためには、失敗へのハードルをさげることが重要ではないかと思います。
ふとしたときに、自分は“トラ”になっていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。
少しでも参考になれば幸いです。


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