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ジャニーズ事務所は2社に分離すべし

小宮一慶のモノの見方・考え方
2023.09.12

ジャニー喜多川氏による性加害事件に関連してジャニーズ事務所が大きく揺れています。7日には、事務所側が記者会見を開き、そこでは、藤島ジュリー景子社長が辞任するとともに、東山紀之新社長が就任を発表し、性加害の事実を認めるとともに、今回の事件の被害者への救済を「法を超えて」行うことなどが表明されました。
今回の記者会見を見ていて、私はジャニーズ事務所は「台風が去るのを待っている」という印象を持ちました。
ジュリー氏は社長を退任するものの、100%株主のままで、なおかつ新体制でも取締役として残ると発表されました。新社長の東山氏もジャニーズ事務所の旧体制やジュリー氏との関係が深いことを考えれば、本当に会社が変わるのかという疑問があります。ジュリー氏が権限を再度拡大する懸念も払しょくできません。
彼らとしては、この高収益の「帝国」をこれまでの状態をある程度維持したままで、守りたいのです。
しかし、BBCはじめ海外のメディアの注目度も高く、国連の人権委員会も動いています。
また、一部のタレントも自身の立ち位置を心配していると考えられます。
私は、ジャニーズ事務所がこのままの状態で生き延びていくのは、かなり無理があると考えます。
ジャニーズ事務所存続に大きな影響を及ぼすのは、所属タレントたちを使っている企業です。彼らの中にはすでにCMなどでの起用を中止する動きも出ています。
今、企業では、とくに、上場企業では「コンプライアンス(法令順守)」がとても厳しく求められています。そうした中、今回の事件、そしてそれを長らく隠ぺいしてきたジャニーズ事務所の企業体質に対して大きな疑問を持っているCMのスポンサー企業も少なくありません。
一方、今回の事件の被害者の中には、責任を果たしてもらう意味からも、会社の存続を願っている人たちももちろんいます。
そこで、こういう状況において、問題を解決するには、私は次のように考えます。
会社を2つに分けることです。一つはジュリー氏が100%の株式を保有し、取締役として残る会社です。こちらは、被害者の救済、補償を専門にやる会社です。ジュリー氏も、被害者の救済、補償に専念すると言っています。
もう一つの会社は、従来通りのタレントのマネジメント活動を行う会社です。ただし、こちらは、ジュリー氏の影響を排除することが必要です。そのため、株主としては、外部の人、例えばテレビ各局などが出資する会社を設立し、もちろん、社長はじめ取締役の過半数を外部の株主などから選任することが必要です。さらには、コンプライアンスやガバナンスの観点から、公正な立場の社外取締役を複数人入れることも必要でしょう。記者会見では法令順守を徹底するためにチーフコンプライアンスオフィサーを置くと言っていましたが、外から雇ってきたとしてもしょせん内部の人なので、十分に機能するかどうかは分かりません。内部にプラスして、徹底した外部の目が必要なわけです。
そして、もう一つ重要なことは、そうして作ったタレントマネジメントのための新会社では「ジャニーズ」という名前を使わないことです。タレントの中には愛着があると言っている人は少なくありませんが、CMスポンサーの側から見ると、求めているのはタレントであって、不祥事を起こしたジャニーズという名前ではないのです。悪いイメージを想起させるような名前は好ましくないのです。
いずれにしても、今後の展開に注目です。


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