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ビジョンを明らかにする際の基本姿勢

経営のヒント
2023.09.21

毎年この時節になると、多くのリーダーが描くビジョンの策定のチェックやフィードバックを行うお仕事が増えます。目下、3社様のリーダーの「ビジョン」チェックを行っています。

リーダー育成の一環として「自社・自組織のビジョン」を描いて頂いているのですが、無論、こう描けば完璧!というものはありません。しかし、外してはならないことがあります。

それには3つあると考えます。

・経営や仕事への思い(志、信念)
・世の中の変化のうち何を機会とするか
・お客さまを通じた社会への貢献成果(企業・組織としての使命)

上記の一つ目によって「目の前の現実に左右されない軸」は何であるかを明らかにし、二つ目によって時代を追い風にする。ここまでで所謂“不易流行”といった、変えてはならないことと変えるべきことを明らかにします。

三つ目が意外と難しいようで、描かれることが少ないものです。これは成果の定義をどう認識しているかどうかでも変わりますが、ドラッカー先生の定義に従えば「企業・組織の外により良い変化をもたらす」ことです。つまり“外を向く”ことです。内向きになってしまった組織があるならば、その変革もアクションに含めなければなりません。

短期的な目標であれば、お客さまにとっての価値(直接の成果)を追求すると良いのですが、ビジョンとは少なくとも10年以上先のゴールを描いたものです。現実の仕事の先に何を見つめているのかを明確にすることで、目の前の現実に翻弄されない全員でたどり着く山の頂を表します。その山の頂から見える景色。これがビジョンです。社会をどのようにより良い場所にするか、というくらいの視座の高い山の頂を目指したいものです。

このほかにもテクニカルなことを含めて色々とございますが、上記3つは欠かせません。
その上で、具体的に描かれているべきアクションが導き出されなければなりません。
それは下記の3つです。

・マーケティングとイノベーションの取り組み(お客さま第一の実践)
・人を活かす(人財の成長戦略と仕組み、成長機会の創造)
・上記による我々の成果(なされるべきことと成果をあげるための取り組み)

これらアクションを示す際に意外と描かれることのないのが現実と未来の姿の「ギャップ」や望ましい「変化」です。“これをやります、あれをやります”は示されることは多いのですが、現実からどのような変化を生み出しゴールに至るのか、そのプロセス、不可欠のステップ、そしてその時間軸を明確に示すことが必要です。

仲間と共にある山の頂に登ろうとするとき、地図も無く、方向も分からない、どのルートを辿って目指すのか、どこに危険が伴うのか、そしてこのポイントを乗り越えなければ絶対に山頂に至ることはないとするものは何か、それに対する必要な訓練は何か。こうした基本的なことを実装せずに旅立つ人も組織もありません。

最後に、ビジョンを描く者の基本姿勢です。

ドラッカー先生の至言を引用して、お読みいただく方々へのエールとしたいと思います。

「未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身をまかせていたのでは、未来はつくれない。未来にかかわるビジョンのうち必ず失敗するものは、確実なもの、リスクのないもの、失敗しようのないものである。」

【出典】 P.F.ドラッカー 『創造する経営者』

未来は自ら創るものです。そうした基本姿勢を備えた企業が、やはり強いものです。ビジョン策定のご参考になれば幸いです。


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