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経営理念を浸透させる『私たちは何によって覚えられたいか』という問い

知恵のバトン
2023.10.24

みなさんの会社では「経営理念」に立ち返ることができているでしょうか。
「理念」は、ものごとの根本にある考え方です。自問自答しながらその解釈を更新していくものです。実践して振返り、「ああたしかにこれが大事だ」と深めていくことで組織や個人に原動力が生まれます。

この時に考えたいのがドラッカーの「何によって憶えられたいか」という問いです。

“今日でも私は、この問い、何によって憶えられたいかを自らに問いかけている。これは、自己刷新を促す問いである。自分自身を若干違う人間として、しかしなりうる人間として見るよう、仕向けてくれる問いである。”
出典:『非営利組織の経営』P.F.ドラッカー

この問いには、「(だれかに)そのような自分として憶えられたい」という意味あいも含まれているように思います。しかし、私たちは、自分たちのことを「他者がどのように捉えているか検証する」ことは少ないように思います。

「他者」を「お客さま」と置き換えるとどうでしょう。
お客さまを鏡として自分を振返り、行動を変えていくことで、強みは生まれます。しかし、競合と比べての差異性を追いかけるだけに終始してしまいがちです。

そして、経営者やリーダーが問うときに大切なのは主語です。
すなわち「“私たち”は、何によって覚えられたいか」と問うことができるかどうかです。

「私は」という問いを発していたのでは、衆知を集めることができません。「あなたは」でも、ベクトルが定まりません。「私たちは」と問うことで、社員それぞれが、同じ方向を向きつつも、少しずつ違った価値観で自分の考えを語ることができます。

その結果、組織としても自分としても価値観の違いから葛藤が生じるでしょう。大切なのは、この葛藤に向きあえるかどうかです。平凡な結果しか出せていない会社は、この葛藤に向きあうことを避けがちです。とにかくリーダーの考えや過去のやり方に盲目的に従ってしまいます。つまり、丸く収めたくなるわけですが、これでは、他の会社がやらない独自性を見出すことができません。まして、お客さまのお役に立つ知恵は生まれないでしょう。

「経営理念が大切だ」ということを否定する人はいません。ただ一方で、浸透できている会社は、多くありません。「私たち」という主語で「お客さまから」何によって覚えられたいかを語る機会が足りていないからです。

年度の後半戦を迎え、1カ月が経とうとしています。
今期の成果に向けて、適切な問いを立て、私たちは何によって憶えられたいか、また、お客さまからどのように憶えられているか、検証する機会を作ってみてください。


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