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その人の行動の背景を含め、直視しようとしているか

知恵のバトン
2023.11.28

「人の強みを活かせ」としばしば言われますが、任せる仕事や任せ方、メンバリングなどの「活かし方」もさることながら、肝心の「その人の強み」が何であるかを捉えることは難しいと感じています。おそらく、仕事上の「できたこと/できなかったこと」(=成果)からの逆算的推測として、本人の能力や素養の側面、つまり「できること/よりできること」(あるいは、苦手なこと)を探っているのではないでしょうか。

かつての職場で、(数人を束ねるリーダークラスで、社内ではお調子者な感じの)部下が社外の方とメールでやり取りをしていたときのことです。
常にCcで自分も入っており、その仕事のゴールに向けて、用件を正確に伝えられているか、先方の要望を引き出せているか、キャッチボールでの失礼はないか、トラブルは起きてないか、などを横目で見ていました。問題は起きていませんでしたが、ある時ふと、メールの中身ではなく、メールの体裁や日本語の使い方が気になり、遡って見てみました。

本人の普段の雰囲気や社内での人間関係の様子からすると私にとって意外性がありましたが、メールは明快で分かりやすく、堅苦しくもなく、名詞や助詞、敬語の使い方、漢字とひらがなのバランス、空行の使い方も含め、読む相手にきめ細やかに配慮し、先方内での対応優先度を上げてもらえそうと感じられるものでした。
その本人から、メールという手段も含め、コミュニケーションについての考え方を聞く機会はありませんでしたが、この一件を経て、「その役職や立場(この時はリーダー)として達成すべき成果・結果でしか人を見ていなかった」、さらに、「自分もかつて経験したリーダークラスという役職は、こうあるべきという自分の見方だけに囚われていた」と感じ、平たく言えば、人を「個性ある人」と見ず、役職・役割分担が規定する「機能」と「その機能での成果を上げたのか否か」でしか見ていなかった、と反省しました。最初から、その本人ともっと「人」として向き合い、個性を捉え、活かせていれば、結果的に、チームの成果・結果もさらに高まっていたのではないかと思います。

本日お伝えしたいことまとめると、
・「役職や立場が規定する役割をまっとうしているか」の機能面に偏った見方だけではもったいない。さらに、同じ道を先に歩んだ自分の見方や基準だけで相手を見るともったいない。
・その人の立場で、その人の行動や成果の背景、たとえば、どのような感情や苦悩、配慮があるのか、表に出ていないどんな工夫を考えたのか、などを見ようとすることは有益である。


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