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面接担当として多くの人がするけど、私は絶対にしないこと

知恵のバトン
2023.12.12

私は、経営コンサルタントとして仕事をする一方で、自社の採用責任者として中途採用の役割を担っています。自社はまだ小さな会社で、応募者からの知名度は低く、その中で、狭いターゲットの層を狙っていることもあり、採用活動の難易度はなかなかの高さです。

そうした中、この8年でコンサルタントの人数は倍になり、戦力化も進み、会社の売上も倍以上になりました。また、候補者を紹介して下さるエージェント会社の方からは「面接を受けた候補者の方が、金入さんの面接を受けてとても良い印象を持たれていて、志望度も高まった」というお話を聞かせて頂くことも度々あります。有難いお話です。

中途採用の面接で、面接を担当された方は、次の質問をおそらくするのではないでしょうか。

「弊社を志望した理由を教えてください」

私が転職活動をしていた際に、この質問を受けた経験があります。企業からすれば当然の質問であり、受ける側も当然考えてきていることで、何ら違和感のない質問だと思います。自分自身も面接を受ける側の立場の際は、特に気にしてはいませんでした。

しかし今、採用の責任者として企業側の立場になり、その見方は変わりました。私はこの「弊社を志望した理由を教えてください」という質問は絶対にしません。

なぜ、その質問をしないのか?
まずこの質問、よく考えると上から目線の立場の発言です。私は採用する側で、あなたは採用される側。採用する側に決定権があり、だから何でも聞いても良いというスタンスが見えます。しかし事実は違います。採用される側にも選ぶ決定権があります。「弊社を志望した理由を教えてください」という質問をする会社は、この事実を見過ごしていると言えます。

そして、さらに言えば、現状は売り手市場です。現実的に候補者側が企業を選べる環境にあります。その現状もスルーしてしまっている質問になります。そうしたことから、私は面接の冒頭で次のような話をします。

「今日は弊社にご興味を持って頂き、お時間を頂き、有難うございます。今日は●●さんについてお話を聞かせて頂きたいと思っていますが、転職は●●さんにとっても重要な決断になると思いますので、私たちの会社や今回の案件が●●さんの希望に叶うものなのかをぜひ見極める機会にして頂きたいと思っています。」

採用する側もされる側も「対等」だということをお伝えします。

私が面接の際に一番重要視しているのは、候補者の方が「次の職場で何をしたいのか?」と「その理由」です。言い換えれば、それがわかれば、志望理由を聞く必要はありません。志望理由は「聞く」のではなく、「こちらが理解する」ものだと考えているからです。

私は面接の際に候補者の話を鵜呑みにするのではなく、その方の転職に際して、でき得る限りのベストな選択肢を一緒に考えるというイメージで話を聞いています。このプロセスを通して候補者の方から「自分のやりたいことが整理できました」という声を頂くこともあります。そうすることで、次の転職先で実現したいことが候補者の方と共有ができます。

「次の職場で何をしたいのか?」と「その理由」が理解できると、なぜ私たちの会社を志望しているか、もしくはしていないかを判断することができます。そして、その方が、次の転職先で実現したいことを私たちの会社で叶えることができるかどうかをこちら側が判断することができるということですなんです。場合によっては、こちらから「今回の転職では、うちじゃないほうが良さそうですね」という話をさせて頂くこともありますが、候補者の方も納得されて、逆に感謝されることもあります。

考えてみれば当然のことなのですが、その当然のことがなされていないことが面接の中には多くあると感じています。採用時のギャップが少なくなり、多くの人が充実感のある仕事を行っていくことができると私は嬉しいので、面接官として面接にかかわることがありました時には、このお話を思い出して頂けると嬉しく思います。


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