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完璧な練習の探求:成功への道を歩むその一歩に意図を込める

経営のヒント
2023.12.21

あるオンラインセミナーで、宇宙飛行士の野口聡一さんがゲストスピーカーとして登壇されていました。

「”Practice makes perfect.”っていうけど、それは正しくない。そうではなくて、”Perfect practice makes perfect.”だ」

とても深く考えさせられる言葉でした。これは、野口さんがはじめてNASAにトレーニングに行ったときに出会った言葉です。

“Practice makes perfect.”は、直訳すれば「練習することで完璧になる」ということですが、「練習」の内容次第では完璧にはなりません。それどころか、間違った方向に行ってしまうこともあるでしょう。野口さんは「巨人の星」を例にだして「神社の階段をうさぎ跳びしたところで野球がうまくなるわけではない」と冗談めかしておっしゃっていました。やみくもにやるだけではパフォーマンスはあがらない。練習の中身を考えてperfect practiceにすることが大切だ、というわけです。

ここには、ポイントが二つあるように思います。
ひとつは、perfectな方法を知るということです。何が本質で、何が正しいやり方なのか、原理原則を知らないままやっていることって、結構あるように思います。経営でいえば「利益」という言葉一つとっても、その捉え方は多様です。陥りがちなのは、利益が目的になってしまうことです。儲けることが目的になってしまっているとうまく行きません。経営する上での目的は、お客さまに喜んでいただき、そのことで働く人たちを活かして、働きがいを生むことです。その結果、利益が生まれ、事業を継続させることができます。

もうひとつは、どうやったらperfectになるのかを考えることです。どこかで聞きかじった「perfectな方法」を鵜呑みにするだけでは、不十分です。その方法の本質は何かを考え、自社や自分に当てはめるとどういうことなのか、自ら考えてやってみて、しっかりと体感、実感を得ながら振返り、自分のものにしていくことが大切なのです。

考えてみれば、経営の練習はそうそうできません。研修などはあると思いますが、ただ学ぶだけでは十分とは言えないでしょう。経営は実践なのです。学問ではないので、実行しないと結果も出ないし、実行しないと身に着けることができません。

興味深いことにpracticeは、辞書を引くと「練習」という意味だけでなく、「実践」という意味も出てきます。英語のpracticeのニュアンスは「一定の行動を繰り返し行う」というものです。それがトレーニングの文脈であれば「練習」という日本語になるでしょうし、日々の仕事ということであれば「実践」という日本語になるのでしょう。

経営は、日々の実践の繰り返しです。その毎日の中で、意図をもって実行し、一歩踏み込んだ振返りを行うことができているでしょうか。日々の小さな違いが大きな差になって表れます。PDCAが大事だと言いながら、計画もイキアタリバッタリで、やりっぱなし、その後の工夫が足りていないケースがいかに多いことか。目の前のことをただこなすだけでは、実際には何も解決していないし、進歩がありません。その割に、「忙しいなかでやりきった」という達成感を得てしまいます。これはとても危険です。なぜなら、深く考えることを放棄し、うさぎ跳びに逃げているのにすぎないからです。

今年も、まもなく終わります。1年の振返りをされている方も多いでしょう。私も、あらためて経営の原理原則や本質が語られている骨太の本を読み返すなど、いつもとは違う一歩踏み込んだ振返りをして、パーフェクトな年末を過ごしていきたいと思います。


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