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「2024年問題」に向けて物流コスト上昇&リードタイム長期化を前提とした仕組みづくりが急務

時事トピック
2023.12.21

2023年も残りわずか、あと一週間もすれば2024年ですね。

2024年と言えば、最近メディアでもよく取り上げられている「2024年問題」。

働き方改革関連法に伴い労働基準法が改正され、大企業では20194月、中小企業では20204月から施行されています。物流・運送業界や建設業界、医療業界では20243月末まで適用が猶予されていましたが、いよいよ20244月からは実際に適用されることになります。

前述の3つの業界では現在でも人手不足が問題になっており、建設業界においてはコストアップや工期の長期化、医療業界においては診療キャパが縮小することによるサービスの低下など様々な影響が懸念されています。しかし、特に問題が大きそうなのが物流・配送業界です。

昨今はEC市場の拡大もあり現状でも人手不足が深刻化しています。2024年問題により、ドライバーの時間外労働時間が制限され、一人当たりの走行距離が短くなるため人手不足が更に大きな深刻になります。野村総合研究所の試算によると、2030年には供給不足により全国の約35%の荷物が運べなくなることが予想されています。特に地方ではその影響が顕著で東北・四国・九州では約4割の荷物が運べなくなると見込まれています。

労働時間が短縮化されることで物流会社の売上減少、更にはドライバーの収入減少に繋がり可能性が高く、その場合、ドライバーになりたいという労働者が更に減ると思われます。現在、2024年問題に向けて物流・運送業界でも値上げの交渉を行っていますが、他の業界と比較して価格転嫁が遅れています。中小企業庁が45月に実施した調査でもトラック運送業が全業種の中で一番価格転嫁が進んでいないという結果になりました。価格転嫁が進みにくい要因の一つとして多段階下請け構造があります。2次下請けや3次下請けは当たり前で、中には5次下請け・6次下請けというものもあります。つまり段階ごとに価格交渉が必要であり、最終的に依頼をしていている荷主に辿りつくまでかなりの手間と時間が必要です。

私も多くの物流・配送会社と仕事で関わっていますが、昨今の燃料高や高まる人件費のコストを十分に転嫁できている企業は多くありません。その結果、人手不足解消を進めることができていません。

ヤマト運輸は一部地域で翌日配送を翌々日配送に変更し、ローソンでも13回配送しているエリアも20244月に向けて2回配送へと配送頻度を減らす取り組みを行っています。物流・配送会社の中でも、最近は収益性の低い仕事はやめさせてもらうような動きも多くなってきています。

これまで当たり前だった「モノを運ぶ」ということが当たり前でなくなる現実がそこまで来ています。物流コストの上昇やリードタイムの長期化など、20244月に向けて様々な動きが出てくるはずです。そのようは動きを前提として仕組みを構築しておくべきです。


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