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出戻り社員の活用

経営のヒント
2024.03.14

過去に自社で働いたことのある人材を「出戻り社員」として積極採用する企業が増えています。

「アルムナイ(卒業生)採用」とも呼ばれ、海外では日常的に行われてきました。かつては一度離職すると縁の切れ目という考え方が支配的だった日本企業でも、変わりつつあるようです。会社によっては、卒業生の間でネットワークをつくり、出戻り社員の候補者をプールする取り組みをしているところもあります。

出戻り社員の採用には、教育コストを低く抑えられるというメリットがあります。自社で求められるスキルや行動を持ち合わせているため、初めて自社で就業する中途社員以上に、即戦力として期待ができます。

そして、自社の価値観や文化といった、見えにくく順応するのに時間がかかる要素もある程度身につけているため、文化不適応となる可能性が低くなります。一度去った後また自社の門を叩くのは、本人にとっても相応の覚悟を要します。よって、未来永劫かどうかは分からないものの、相当期間勤続してくれることが期待しやすいのも、採用側にとってはメリットとなります。

出戻り社員の積極的な活用のためには、良い状態での離職を可能にすることが必要です。企業側の視点としては、離職者がよい印象をもったまま離職していくよう、適切に対応することです。

退職の申し入れをした者に対し、ぞんざいな扱いや不当な対応をしてしまうと、将来的にその会社へ戻ってみようと思われることはありません。そして、退職の申し入れのあるタイミング以前に、すべての人材に対し入社時以降企業としてできることを最大限対応していくことを目指すべきなのは、言うまでもありません。

離職者側の視点としては、会社や残る従業員に対して適切な対応をしたうえで離職することが大切になります。

長い職業生活の中では、いろいろなことが起こる可能性があります。以前就業していた職場に戻ることを望む場面が出てくるかもしれません。その際、以前の離職時の去り方や、離職までの成果や取り組みが不十分な人材には、当然ながら出戻りのオファーがきにくくなります。自ら門を叩いたとしても、受け入れられにくいでしょう。退職時に、その会社での不満を不用意にまき散らすなどはしない、引き継ぎを十分に行う。そうした対応も必要です。

これらは当たり前のことだと感じられるかもしれませんが、その当たり前が文化として行き届いていない会社も多いものです。筆者の見聞きする会社の中には、出戻り社員が活躍している例が散見される会社がありますが、そうした会社は当たり前が文化として行き届き、成果を上げている良い会社であることが多いものです。

労働人口は今後ますます減っていき、採用難の環境はさらに進むことが想定されます。そうした環境下では、多様な人材調達手段を確保することがますます求められます。

・企業側は、採用した人材に離職まで真摯に向き合う

・従業員側は、離職まで最大限パフォーマンスの発揮に努める

・離職者と連絡が取れる状態を維持したり、ネットワークで人材プールとしたりするなど、出戻りしやすいシステムをつくっておく

企業側も従業員側も、良い関係づくりに協力し、出戻り社員という採用・キャリアづくりの方法論に一層注目してもよいと考えます。


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