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大企業の早期退職制度の増加は中堅・中小企業のチャンスか?

時事トピック
2024.03.14

今回は、今年に入ってから増えている大企業の早期退職制度を確認しつつ、このことが中堅・中小企業に与える影響について考えてみます。

今年に入って発表されている大企業の早期退職制度について確認してみます。
資生堂は2月に国内で約1,500人の早期退職を募集すると発表しています。
セブン&アイ・ホールディングス傘下の総合スーパー、イトーヨーカー堂は1月から45歳以上の正社員を対象に早期退職を募集したところ、700人程度の応募がありました。
オムロンは2月に国内外で合計2000人の人員を削減すると発表しています。
上記の状況もあり、まだ2か月半しか経過していないにも関わらず、2024年の上場企業の早期退職の募集人数は2023年通年を上回っています。

過去最高益の発表や株高4万円突破など、景気のよい話しが続くなかで、なぜこのタイミングで早期退職制度なのでしょうか。私は3つの理由を考えます。

1つ目は、日本国内の市場の縮小や中国の景気減速によるものです。資生堂やイトーヨーカー堂は人口減少で国内市場が縮小するため、事業規模を適正化することが求められています。また、オムロンは中国のファクトリーオートメーション事業が苦戦していることがあります。中国の景気減速も影響しているでしょう。

2つ目は、インフレにより1人あたり人件費が大きくなっていることもあり、人数を適正化することで人件費を適正化しようとしています。

3つ目は、比較的余裕がある時の方が早期退職を実施しやすいためです。早期退職にともなう退職金割り増しなどは特別損失となりますが、経常利益がでている時は特別損失をカバーすることができるのです。

このような理由から、大企業の早期退職制度が増えているのです。

それでは、この大企業の早期退職の増加が中堅・中小企業に与える影響について考えてみます。
大きな影響の一つとして、中堅・中小企業が大企業の人材を獲得できるチャンスが増えることです。実際、、採用支援のサイトでは早期退職をされたのちに登録されている方が多数確認できます。
早期退職された大企業のOBOGが中堅・中小企業に転職し、活躍される方もいます。
私の知り合いの話ですが、大手光学機器メーカーから早期退職されたのちに東海地方のメーカーさんに転職され、前職でのご経験を活用されて取締役まで昇格されている方がいます。現在もFacebookなどで海外出張などをされて活躍されている様子が伺えます。

もちろん、よい話しばかりではありません。早期退職された後に中堅・中小企業に転職されたものの、期待された役割を担えず、退職されることもあります。退職されなくても、活躍されるまでに時間がかかることもあります。

このような大企業の退職者の方を採用されるにあたり、中堅・中小企業の経営者として何を注意すべきでしょうか。2つほどあげてみたいと思います。

1つ目は、自分の担当領域にこだわらず、どんな領域の仕事でも対応しようとする柔軟性をもっているか、です。特に大企業の仕事は機能分化されているため、担当領域の殻にこもる人もいます。確認方法として、前職の担当以外の各領域の状況や、関わり方について面談で聞いてみましょう。

2つ目は、経営者との相性です。経営者との距離が遠く、数年単位で部署移動する大企業と異なり、中堅・中小企業は経営者との距離が近く、またその関係が長く続きます。もし経営者との相性が合わないと、お互いにとって不幸となります。確認方法として、面接後に可能であれば食事をご一緒して、ざっくばらんなお話しをしてみましょう。

大企業からの退職者、つまりOBOGの方は中堅・中小企業にはないスキルや知見をもっていることがあります。そのスキル、知見が目指すべき方向に活かせるのであれば、その方の採用は大きなチャンスとなるでしょう。


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