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年々増加するデジタル赤字は日本の国力衰退の原因になる

時事トピック
2024.05.07

スマホはiPhone、ネット検索はGoogle、買い物はAmazon、動画視聴はNetflix、パソコンのOSWindows、社内のコミュニケーションツールはTeams、暇な時にはFacebook・・という方は結構多いのではないでしょうか?

前述したサービスの共通点は運営元が全て海外の企業ということです。よくよく考えてみると仕事や生活をする上で海外企業のサービスを利用する機会が増えました。

個人が直接代金を支払っているものだけでなく、ネット検索やSNSを使う際に表示される広告についても多くの日本企業がGAFAMのような海外企業に広告費を支払っており、その金額はかなりの額です。

最近、新聞やニュースで経常収支におけるデジタル関連サービスの赤字である「デジタル赤字」(サービス収支の一部)という言葉よく目にします。三菱総合研究所によると2023年のデジタル赤字は前年から16%増加の5.5兆円となり、現在の基準になった2014年の2.1兆円から赤字額は3倍弱に膨らんでいます。それだけデジタル関連サービスの利用が増え日本のお金が海外に流出しているということです。

海外からの稼ぎである経常収支は2023年に20.6兆円の黒字と前年からほぼ倍増しました。改善の大きな要因としては資源高が一服したことにより貿易収支が改善したことと、インバウンド(訪日外国人)が増加したことによる旅行収支(サービス収支の一部)の改善です。貿易収支は資源価格や為替の動向に左右されるところもありますが、当面旅行収支はインバウンドの増加が続き黒字額は拡大すると思われます。しかし、黒字額は拡大の一途を辿るかと言うとそれほど遠くない段階で頭打ちを迎えるでしょう。理由は観光業の人手不足です。現在コロナ禍で雇用を抑えていた反動もあり、観光業界はどこも人手不足です。宿泊業や飲食業では人手不足が稼働の制約になっているところもあります。このように旅行収支を支える観光業が労働集約型産業であることが近い将来、成長の足かせになると考えられます。

一方で前述のデジタル赤字はどうでしょう?こちらはプラットフォームやコンテンツビジネスであるため、利用者が増えてもサービス提供側の手間は変わりません。そのため観光業のように人手不足でサービスが提供できないという事態に陥ることは余程のことが無い限りありません。

既存のデジタル関連サービスの利用はこれまで同様拡大することに加え、今後はチャットGPTに代表されるAIサービスの利用が普及することで海外企業のデジタル関連サービスの利用は増加すると考えられます。デジタル赤字が拡大することで中長期的に日本の経常収支がマイナスに振れる要因にもなります。海外からの稼ぎである経常収支が悪化することは国力の衰退にも繋がりますし、通貨安の要因にもなります。

日本の国力を高めるためにもGAFAMのような世界中で稼ぐ国産テック企業が誕生し、日本国としての稼ぐ力を高めることを期待したいところですね。


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