私は例年この時期に顧問先企業の幹部メンバーと一緒に合宿をしています。
合宿というと運動部がやるような古いイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかしオンラインを駆使したコミュニケーションが増えてきた令和の世の中であっても、合宿をする意味は大きいと感じています。
私が顧問先企業と一緒に実施する合宿の目的は大きく3つあります。
一つ目は長期ビジョンの検討と共有です。長期的な視点で経営を考える必要性を感じている方は多いと思います。しかし、実際はどうでしょう?日々の業務に追われて目の前の問題解決に終始しているという方も少なくないのではないかと思います。そこで合宿で改めて中核メンバーで長期的に何をやっていくのか?どのような会社にしていくのか?世の中をどう変えていくのか?ということを考える場を設定しています。会社の方向性は意志を持って決めていくものです。この長期ビジョンが曖昧だと会社は成り行きで進んでいき、大きなイノベーションが起きることはありません。
また自分たちのミッションやビジョンを明確にすることで、仕事の意味や意義を再確認することもできます。長期ビジョンが明確になり、しかも社会貢献に繋がる実感があると誇りを持ってワクワクした気持ちで仕事に取り組むことができます。
二つ目は来期の経営計画の素案を作成することです。長期ビジョンを達成するためにバックキャスティングで考え、来期中にどこまで進捗する必要があるのか個別方針に落とし込みます。この時期になってくると年度も終わりが見え始めてくるので今期上手くいったこと、上手くいかなかったことなど反省を踏まえ、地に足のついた計画を作っていきます。方針だけだと抽象的で何をするのかが不明確なので、個別方針の具体的な施策と責任者、期末時点での達成目標も設定するようにします。経営計画の個別方針に関する内容は決めっ放しにならないように月次の経営会議でPDCAを回すようにしています。
三つ目は幹部同士の関係性の強化です。幹部同士は普段から経営会議などで顔を合わせて意見交換をする機会は多いです。しかし会話の内容は仕事に関係する、会議の議題に沿ったものが中心になります。仕事に関係する話ができれば十分なのでは?と思うかもしれません。しかし、私はそれでは不十分だと考えています。会社という組織を一緒に動かしていく幹部メンバーはお互いに、どんな生い立ちなのか、どのような価値観を持っているのか、どのような趣味があって、どのような食べ物が好きなのかなど、お互いがどのような人間なのかを知ることが必要だと思います。そのような人間としての相互理解があるからこそ一体感を持って会社という大きな組織を変えていこうと思えるのです。合宿という場で一緒に食事をして、お酒を酌み交わし、同じ場所に泊まるという経験をするからこそ、相互理解が進むと思います。
費用も手間も掛かりますがそれ以上に大きな効果がありますので、是非幹部メンバーで合宿をしてみてください。