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医療崩壊の次は経済崩壊を防げ

小宮一慶のモノの見方・考え方
2021.02.09

27日までの予定だった11都府県への緊急事態宣言が栃木県を除きあとひと月延長されることとなりました。感染拡大を防ぎ、それにより医療崩壊を防ぐためには仕方のないことでしょう。しかし、それによりさらに疲弊する企業が増え、経済崩壊の可能性が高まることも事実です。

経済統計を見ていると、第1回目の緊急事態宣言が出た昨年4、5月は例を見ないほどに日本経済が落ち込みましたが、GoToトラベルが解禁された7月以降、とくに東京のGoToトラベルが解禁された10月以降、街角景気(景気ウォッチャー調査)や消費支出の指標が大きく改善しました。言い方を換えれば、外出や外食などを「制限」すれば経済は落ち込み、人々の気持ちが「緩め」ば経済は向上するのです。

そういうことを考えれば、1月以降は経済が落ち込み、それが長期化するという可能性もあるということです。この傾向は12月からすでに統計上に表れています。政府は経済崩壊を防ぐ努力もしなければならないことは言うまでもありません。その際、今までのような「大雑把な」政策では効果も半減です。

まず、飲食業への助成金です。現状20時以降の営業を自粛しているお店に対しては一律日額6万円が支払われています。しかし、これは店の大きさなどを考慮していません。1人か2人で10席程度の店を切り盛りしている場合には、日に6万円もらえば普段より大きな利益が出てホクホクだと思います。一方、大型店では6万円程度では焼け石に水のところも多いでしょう。助成金を得るには申請をしなければならないので、その際に、家賃や、雇用調整助成金をもらわない従業員などの固定費を申請してもらいそれを支払うべきです。金額が個別に違うだけで、これまでと役所側の手間もそう変わらないはずです。助成金で儲かるところとそれでも全く足りないところが出ているのはおかしな話です。これでは、飲食業、とくに大手は壊滅します。

他に、ホテルや旅行代理店、陸運、空運、タクシー、飲食業に資材を供給しているところやイベント関連など、助成金がほとんど出ておらす、業績が厳しい業種がたくさんあります。借入れでなんとか事業を維持し、その後のGoToキャンペーンが復活すれば業績がある程度戻る可能性のあるところはいいかもしれませんが、そうでないところには、返済不要の助成金や資本性資金の注入が必要なところも少なくないでしょう。

さらには、困っている人への助成も必要です。前回は、富裕層10万円を配りました。収入が落ちていない年金受給者にも配りました。選挙対策が見え見えの愚策でした。富裕層では貯蓄が増えただけで、年金受給者はプラスアルファの収入があったので、それをGoToトラベルで使い、それにより感染が増えただけの結果に終わりました。これも申請ベースだったので、もし次回もやるのなら、本当に困っている人に厚めに配分をすべきです。

先の飲食業等も同じですが、申請で不正があれば、あとで調査し厳罰を科せばいいのです。

メリハリのついた配分ができないほど政府は無能だとは思いたくありませんし、もし、これから先も無能さを露呈し続けるなら、国民が政権を見限るのもそう遠くはないでしょう。

【小宮 一慶】


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