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推薦図書 「老子」

経営のヒント
2021.12.03

推薦図書:「老子」

 

今回は儒教と並んで中国の二大思想と呼ばれる「老荘思想」を代表する著書「老子」をご紹介したいと思います。
今回の訳文として使用させて頂いた守屋洋さんの「世界最高の人生哲学 老子」によると、その特徴は「万物の根源に「道」なる存在を認め、そこから論を展開していること」になります。

 

この本の中には、「道」とは何かを、処世の知恵から、哲学、政治、兵法、策略と多様な視点から書かれています。ここでは現代の生き方にも参考となると思われる教えを5つあげ、そこから感じる学びについて考えてみたいと思います。
もし更に「老子」を学んでみたいと思われた方は、ぜひ守屋洋さんの「世界最高の人生哲学 老子」を読んで頂ければと思います。

 

①無為自然-背伸びすれば足元がおぼつかない-
(訳文)
自分を是とすれば、かえって無視される。自分を誇示すれば、かえって排斥される。自分の功績を誇れば、かえって非難にさらされる。自分の才能を鼻にかければ、かえって足を引っ張られる。
こんな生き方は、道から見れば、すべて余計なことだ。一般の人さえ見向きもしないのだから、まして道を体得した人物とは関係がない。

 

(学び)
家庭でも仕事でもそうですが、相手のことを立てる、相手のことを思いやることが第一であるべきです。そう思うならば、自分が是であることか、誇示するとか、ということは無意味だし、有害ですらあるように思います。

 

 

②上善は水の如し-逆らわない生き方-
(訳文)
最も理想の生き方は、水のようなものである。水は万物に恩恵を与えながら相手に逆らわず、人の嫌がる低い所へと流れていく。だから、道のありように近いのである。
低い所に身を置き、淵のように深い心を持っている。与えるときは分け隔てなく、言う事にいつわりがない。(中略)
水と同じように、逆らわない生き方をしてこそ、失敗を免れることができるのだ。

 

(学び)
社会に合わせる、お客さまに合わせる等、外部環境に合わせていくというのは、結果的に社会やお客さまに貢献する道ではないでしょうか。水のようにしなやかに合わせることが大事だと思います。

 

 

③無心であれ、素朴であれ
(訳文)
潔白をよしとしながらも、あえて汚辱のなかに身を置けば、もろもろの流れを集める谷川のように、万物を包容することができる。そうすれば、道と合致して、原木そのままの素朴な状態に立ち返ることができる。
素晴らしい明知に恵まれながらも、あえて暗愚に徹すれば、天下の師表となることができる。そうすれば、道と一体となり、限りなく原初の状態にたち返ることができる。

 

(学び)
清廉潔癖なのも美学の一つかもしれませんが、それだけでは人は寄ってきません。清濁併せ呑むくらいの器の大きさも、衆知を集める為には必要だと思います。

 

 

④奪おうとするならまず与えよ
(訳文)
縮めようとするなら、まず伸ばしてやる。弱めようとするなら、まず強くしてやる。追い出そうとするなら、まず味方に引き入れる。奪おうとするなら、まず与えてやる。これが底知れぬ知恵というものだ。だからこそ柔弱なものが強いものに勝つのである。
魚は、水から飛び出したら生きられない。それと同じように、国を治める要諦も人に示さず、胸中深く秘めておかなければならない。

 

(学び)
少し策略的な表現にはなっていますが、与えることにより、結果的に与えた相手が離れなくなるようになる、ということなのかなと思います。「お金を追うな、仕事を追え」と弊社ではよく言っていますが、まずはお客さまや周りの仲間達に何かを与えていくことが第一なのかと思います。

 

 

⑤自ら知る者は明なり
(訳文)
人を知る者はせいぜい智者のレベルにすぎない。自分を知る者こそ明知の人である。
人に勝つ者はせいぜい力があるといった程度にすぎない。自分に勝つ者こそほんとうの強者である。満足することを知る者こそ富者である。

 

(学び)
自分を見たことがない、自分と話したことがない以上、自分を知る、ということは本当に難しいことだと思います。松下幸之助さんは「道をひらく」の中で、自分を知るには「心の鏡」をもつことの大事さを書いています。「心の鏡」をみるとは、周りからの評価に心を傾けることだと書かれています。

 

 

⑥自分から立たず、人から立てられる
(訳文)
天も地も永遠に続いていく。なぜか。自分のために生きようとしないからである。だから、永遠の生命を与えられるのだ。
「道」を体得した人物も同様である。自分から先に立たないので、かえって人から立てられる。自分を度外視してかかるので、かえって人から重んじられる。自分を捨ててかかるので、かえって自分を生かすことができるのだ。

 

(学び)
「自分から先に立たない」、「自分を度外視」、「自分を捨ててかかる」というのは、逆に言えば、相手を先に立たせ、相手を大事にするということなのではないでしょうか。相手を先に立たせ、大事にすることにより、結果的に人から立てられ、人から重んじられ、そして自分を活かすことができるのだと思います。

 

 

⑦謙虚だから支持される
(訳文)
「道」を体得した人物は、国民を統治しようとするとき、謙虚な態度でへりくだる。国民を指導しようとするときには、自分は後ろに退いて、いっこうに指導者ぶらない。
だから、上に座っていても、国民は重いとは感じないし、先に立っていても邪魔だとは感じない。このように、国民から喜んで迎えられるのは、才能や功績を競おうとしないからだ。だから国民はおのずと帰服するのである。

 

(学び)
これは訳文の通りですが、謙虚であることが、成功する為の指導者の素質として重要だということを改めて思い出させます。

 

 


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