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新聞や外部指標に関する考え方

経営のヒント
2021.11.26

いつもKCクラブをお読みいただきありがとうございます。

KCクラブでは、世の中の関心に自分の関心を合わせる・経済を学ぶ という目的をもって日経新聞からピックアップした数字トピックなどを記載しています。しかし、マクロすぎてご自身の会社や仕事になかなか結び付けづらいと考えていらっしゃることもあろうかと思います。

今回は、そのようなマクロな指標と事業との関連について考えてみたいと思います。

 

例えば景気指標の中で「機械受注」という項目があります。正確には「機械受注統計調査」と呼ばれ、原動機、重電機、電子・通信機械、産業機械、工作機械、鉄道・道路車両、航空機などの受注額を内閣府が毎月調査し公表している経済指標のひとつです。

一般的には、世の中の景気の先行指標(その指標が良化・悪化した後に、世の中の景気が良化・悪化する指標)と言われています。なぜならば、製造業の会社が、将来的な需要動向を見定めて設備投資に動いた結果が機械受注として現れるからです。

 

機械受注の対象になる機械は、その後生産される製品の生産のために行われる設備投資に他ならないのです。機械受注が増加しているということは、その後にそれらの機械を活用した大量の生産が行われ経済が活性化することが想定されるのです。世の中の景気に関しては先行指標になるということです。

 

2021年79月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前期比0.7%増の2兆5379億円で、プラスは2期連続。10~12月期も3.1%増と回復が続く見通しとも言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:日経新聞 1117日(水) 電子版

 

当社のお客さまの中に、ネジに関するビジネスのお客さまがいらっしゃいます。ネジの用途は、例えば工作機械などの製品やその他先ほど述べた機械受注の対象となる機械のために使われます。つまり、機械受注は一般的には先行指標ではあるものの、このネジのビジネスに関しては一致指標(その指標の改善と景気の改善が同じタイミングになる指標)になるということでもあります。

 

こちらのお客さまには私もコンサルタントとして関わらせていただいており、定例の経営会議においてマクロ指標とそれぞれの営業の方が聞き出した顧客企業の状況などのミクロ情報を照らし合わせながら経営戦略や個別の戦術を策定しています。

 

例えば、

「ある顧客との取引が減少している段階において、マクロの状況は良好で先行指標を見ても先行きが明るい状況。顧客の状況を見ても経営においては良好に推移している、という状況の中では競合他社に取引が流出している可能性がある。当該顧客が上場企業であるため、開示している中期経営計画を見て今後の戦略分野への貢献をアピールすることでシェアを回復させよう。」

といったようなことです。

 

このように、事業によって景気指標の用い方が変わってきます。自らの事業をしっかりと理解し、また、景気・市場に関する指標はその定義・内容をしっかりと理解して両方を結びつけることによって、将来の経営判断に生かすことができます。

 

また、私たちコンサルタントは指標を表面的に理解せずにその定義や本質的な意味を理解して、お客さまのビジネスに活きた情報として提供することが求められています。お客さまの状況をしっかりと把握し、知識の研鑽に励むことによってお客さまに対してより良い情報を提供できるように心がけています。

 

以下の図にあるように、外部環境に関しては皆さんの事業に所属する部分、および時間的には短期的に影響が出る部分について関心が高まる傾向にあります。それは当たり前の話で、今日明日、今後数ヶ月の業績に影響与える部分に関心が向くのは当然のことと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、今後会社の経営を担う人材や、既に会社の経営を行っている経営者や経営陣の方に関してはもう少し異なった視点が求められるのです。具体的に言えば、自分の事業だけではなく、お客さまが所属する業界に関する事業の状況、およびその直近1年間程度ではなく数年先についての客観的及び自分なりの見解を持っているということが、ご自身の会社の経営(会社の方向付け、資源の最適配分、人を動かす)や、お客さまのしかるべき立場の方とのコミュニケーションを行う上で必須であるということです。

 

もちろん神ならぬ人間なので、未来予測については100%正しい予測ができるわけではありません。むしろどれだけ外部環境に触れたとしても将来のことはあらゆる変動要素が入るため外れることの方が多いでしょう。しかしながら完全なる当てずっぽうではなく、信頼に足る情報ソースから仮説を立てることは「経営」という仕事に関する大事なトレーニングになります。

 

また、経営者やリーダー同士がそれぞれの人物を見定めるときに、中長期の目線や外部環境に対する自分なりの見解を持っているかどうかということが問われるケースも多いです。

それはやはり、経営者は短期的な執行だけを考えていればいいわけではなく、会社の将来について中長期の時間軸を持って見解を述べなければいけない立場にあるからです。

 

リーダーや経営者を目指す皆さんとしては、自分の目先の評価に関わる短期的な視点だけではなく、幅広い業界に対する中長期的な視点を持つことをおすすめします。そのためにも、KCクラブや新聞を読むことによって中長期的な視点を身に付けていくことが大切になると考えています。そういったことの価値を信じて、KCクラブを継続的に発信し続けたいと考えています。

 

 


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