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経営の原理原則「経営における新聞活用の意義と方法」

経営のヒント
2021.12.18

今回は新聞を日々読むことの意義、どのようにしたら新聞を読み続けられるか、ということについて改めて考えてみたいと思います。

 

■世間の関心に自分の関心を合わせる

 

これは、自社や自分の今後の外部環境分析において重要であるとともに、お客さまや世間に対して商品サービスを提供するビジネスを経営しているまたはそのような会社に勤めるビジネスマンの方々にとっては、お客さまや世間の求めるものに対してのアンテナを立てると言う意味においてマーケティング的にも重要なことです。

 

新聞を初めて読む人や、新聞を読んでから日の浅い人は、自分の興味があること以外の記事がなかなか頭に入ってこないと思います。私もそうでしたし、今もそうです。ただ、興味・関心の幅、自分事の幅を広げることによって頭に入ってくる記事の幅が広がったと感じています。

 

新聞は世の中に向けて大切だと思われる情報を優先順位の高いものから順番に並べて提示しています。そのため、例えば1面の記事において自分自身の関心がない記事があるとすると、それは世の中一般の関心と自分自身の関心がずれていると言うことになります。(まだ私自身結構ありますが。。)

 

自分自身が生きていくためには自分の関心事を重視して生きていくこともできるでしょう。一方で、興味・関心の幅を自分自身から自分が働いている会社、経営に拡張して、お客さまや世間のことを考えるときには、お客さまも世間も世の中の標準の関心に関心を持っている可能性が高いです。そのため、お客さまや世間の関心に自分自身の関心の水準を合わせていくことが非常に重要になってくると言うことです。

 

そうは言っても、口で言うのは簡単だけど実際に継続していくのは大変だ、と考えていらっしゃる方のために(実はそう思っている私自身のためにも)もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

 

■アウトプット意識を持ちながら読む

 

新聞やニュースを読む事は、外部環境を継続的にインプットすることになります。もちろん、インプットだけではなくアウトプットをすることがとても大切なのですが、新聞によるインプットからのアウトプットは、なかなか自覚できない部分でもあります。

日常、仕事をしていると、自分及び自分の会社、お客さまに短期的に直接影響すること以外のことに対して関心を持つ機会がそれほど多くないと感じます。特に忙しくなればなるほど、優先順位は身の回りの短期的なことに集中します。

そこで、短期的なアウトプットを具体的にイメージして、項目立てをして読んでみることをおすすめします。

 

 

・雑談、ビジネストークのネタとして使ってみる

短期的に効果が出ることといえばに言えば、会社の人やお客さまとの何気ない会話や雑談などに使えるネタはないか、と考えながら新聞を読むことです。ビジネスマンの間でゴルフ人気が根強いのは、ゴルフを共通の趣味として持っておくことによって、ゴルフの話をしていればお客さまとの距離を縮めることができるからです。新聞によるインプットは世間の関心のインプットと共通点があるため、ゴルフの話をしているのと同じようにお客さまとの関係を作るための共通の話題として機能することもできるでしょう。

 

訪問をしたお客さまとのコミュニケーションにおいては、お客さまの業界の話題や、米中問題やカーボンニュートラルなどの共通の話題など、いくつかのトピックを用意していくことでお客さまの興味のフックに引っ掛けることができます。

 

若い時の私はお客さまとの雑談が苦手でした。これは内向的な性格の問題と思っていましたが、そもそも話題がなかったからでもあったのです。最近の私は、もともと内向的な性格なので雑談そのものに対しては少しだけ心に抵抗があるのですが、新聞のインプットによって様々な雑談のネタがあるためお客さまとの雑談をすることに対しての心の抵抗は前よりもなくなりました。

まずは、このような卑近な例からアウトプットとして活用してみることをおすすめします。

 

最近またコロナが復活してきてますね、といったような話題からお客さまとのコミニケーションを進めていくこともできるでしょう。少なくともコロナに対して全く関心のないお客さまは今の時点ではいらっしゃらないはずです。

 

 

・日記や執筆等に活かしてみる

私自身も、新聞を読んでこのように執筆をすることが1つのアウトプットになっています。アウトプット意識を持つ事は、インプット意識をよりきわだたせることにもなります。この執筆があるからこそ、日々の新聞を今までよりも少し深く読むといったようなことです。

 

これは日記や個人的な執筆などでもいいですが、例えば新聞のネタを活用して同僚の方や友人と共有してみる、あえて今日の日経新聞の一面を議題にした話を5分でもいいからしてみるなど、自分だけではなく相手との約束を通じてお互いに成長していくような取り組みも良いでしょう。

 

 

・最終的なアウトプットは、ビジネスそのものや経営

小宮コンサルタンツとして会員様である経営者の方や経営者の方に新聞を読んでいただく大きな目的、アウトプット目的は経営そのものにあります。

お客さまの関心、世間の関心に自分の関心を合わせることが、自社の商品サービスをお客さまに選んでいただくため、貢献していただくためにとても大切な前提になるからです。

 

とはいえ、最初から経営のためといった難しい捉え方をしなくても身近な短期的なアウトプットを意識して継続してみる、ということでも充分効果があります。

 

 

■お客さまが所属する業界や、お客さまの周りの状況を把握してビジネスに活かす

 

お客さまが属する業界について、アンテナを立てて新聞等から情報をインプットする事はお客さまにとっての有効な情報を提供することにもつながります。

 

皆さんが感じていらっしゃる感覚と同じく、取引先の皆様も新聞については日常的に読んでいらっしゃる方ばかりではありません。日常的に新聞をしっかり読むということは、やはりある程度の労力を必要とします。

そのため、所属する業界のマクロ的な状況や、業界に関係がないが間接的に影響があるようなマクロ情報やその他の業界の情報等については取引先の皆様も疎い可能性があります。そのような方に、新聞で読んだ情報をアウトプットとしてお伝えする事は、取引をするメリットを相手に伝えることにもなります。また、お客さまが所属する業界の情報を得た上で、自社ならではの情報と掛け合わせて具体的な提案につなげるといったこともできるでしょう。

 

外食業界を主な顧客とするビジネスを行っている会社であれば、主要な顧客基盤としての飲食店の業界の業績が落ちればそうに自社の売り上げも下落します。

しかしながら、単に手をこまねいているだけではなく飲食店業界の動向を新聞やその他の情報機関を活用しながら今後の事業展開のヒントを得ていく必要があります。

飲食店などの業界については、コロナ禍によって大きな打撃を受けていますが、さすがにここまで新規感染者数が減少している中では出店計画を具体化させている会社さんもいらっしゃいます。

そういったことが、新聞などによるインプットや、またはそのようなお客さまの有価証券報告書や決算報告などを見ることによってわかってきます。

 

また、新聞では無いのですが飲食店などの会社さんの上場会社である所の中期経営計画書等を確認すると、かなりの部分の飲食店が海外の出店を加速させていくことがわかります。

日本は、特に「うまい安い早い」の牛丼文化に慣れて日本の消費者の目線が厳しく質が高くなっています。これに対して同じクオリティのものでも海外であれば非常に付加価値が取れます。また、海外においてはコロナ中においても活発に外で活動する人たちが多いと言った国民性もあり、消費需要も旺盛です。

こういった外部環境の違いによって、今後主要な飲食店は海外展開を加速させていくことが想定されます。そうすると、今までうまい安い早いで質の高い飲食店が1番があった日本も海外にメインが移ってしまう可能性があり、その質の低下やコストパフォーマンスの低下も想定されます。

 

しかしながら、飲食店に働く方々の待遇面などを考えるとそれで良いのかもしれません。質の高いものをしっかりとお金を払って食べると言うことを改めて日本の消費者は学ぶべきかもしれません。

とは言え、今の市況において値上げをしていくのはなかなかに難しい状況です。

このような状況の中で、飲食店においてもアルバイトの時給が上がっていると言うような記事があります。コロナ禍で大幅に営業を縮小してきた中で新型コロナウィルスの感染者数の減少によって需要が回復する中で人手が一気に足りなくなってきていると言うことです。しかしながら、このような人件費や原材料の高騰部分を価格に転嫁することができないため飲食店においては顧客数は増加するものの収益環境はしばらく悪い状況が続きそうです。

 

例えば、このような情報を持ちながら飲食店のお客さまと接することによって何の情報も持たないよりも具体的な提案や、相手の状況を理解した上でのコミュニケーションができるものと考えられます。

 

 

有価証券報告書や決算報告書、中期経営計画等は上場会社であればその会社のホームページに載っています。個別具体的なお客さまの情報は上場会社であればより入手しやすい状況にあります。そしてそのように得た情報を踏まえつつ、新聞から得たマクロ情報を掛け合わせながらお客さまに対しての具体的な提案を行うと言うことです。

 

このような、具体的なお客さまへの提案をアウトプットとして意識した場合のインプットも新聞を読む効果を高めることにつながります。

 

 

■中長期的な仮説を持って読む

 

新聞の記事は様々です。短期的に影響が出るような記事もあれば、今回の経済の部分でも記載させていただいたような人口動態やカーボンニュートラルについては、短期的に影響が出る部分もありますが主には5年先10年先20年先といったような社会を明確に形作る材料として非常に重要です。

特に今年に入ってからの環境問題、カーボンニュートラルに関する関連記事の多さは目を見張るものがあります。

このテンションの高まりも、実は日々の新聞のインプットの中での記事の取り扱いの数やボリュームなどによって実感することができます。

 

人口動態においては、ピータードラッカーも言うように将来の予測がかなり明確にできる分野でもあります。

少子化が進んだ中で、かつ人生100年時代と言うことで皆が長生きするようになれば構造的に高齢化社会が実現することになります。これは日本で先進的に起こっていることではありますが他の国においても多かれ少なかれ起こる問題であります。

アメリカのように移民を受け入れない日本は、必然的に将来人口減少高齢化社会を迎えることになります。

このような中長期、超長期の社会を洞察しその時代におけるマーケティングとイノベーションをどのように行っていくかといったことを考えるためにも必要な材料は新聞の中に溢れています。

 

なかなか忙しいため、目の前の事や直近1年位のことで関心はほとんど使われてしまっていますが、時に落ち着いて将来のことを考える、将来の社会のことを考えてみることも有効です。

特に経営者の方々は、目先のことだけでは会社が回りません。5年先10年先、20年先を意識しながら会社の舵取りをしていく必要があります。

もちろん先の事など分かりません。新聞やその他の情報からの洞察によって先の未来を描き、その仮説を検証するために日々の外部環境のインプットとしての新聞を活用すると言うやり方が有効です。

 

このような、将来ビジョンや将来に対する洞察と言う仮説を持っていれば、新聞を読むことによってその仮説の検証効果があります。

一方で将来についての具体的な施策や洞察がなければ、新聞を読んでも検証するものがなくインプット効果は薄くなります。

 

仮説を立てると言う事は、仮のアウトプットを先に出しておきながら、新聞やその他のインプット情報で後付けで補完をしていくと言うような考え方です。

先程の、新聞で読んだ情報を加工してお客さまにお伝えすると言うアウトプットの方法ではなく、先にこの先このようになるだろうと言う洞察を立てておきながら後付けでその情報によって補完すると言うことです。

 

経営を実践するということは、将来に対する仮説をもって進んでいくことでもあります。そうすることで、必然的にアンテナが立ってくるということです。興味・関心の幅が広いので、普通に新聞を読んでいても様々な情報が頭に飛び込んでくるということです。

 

 

日々の正しい努力の積み重ねによって、この段階に到達したいと願いながら日々精進してまいりたいと思います。

目の前に活かせることから一歩一歩進んでいきましょう。

 


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