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推薦図書 「マネジメント 課題、責任、実践 中巻」(P.Fドラッカー 上田惇生訳)

経営のヒント
2022.01.21

経営学の大家、ドラッカーの代表的作品です。エッセンシャル版も出ていますが、全文をカバーしたものが上・中・下の三巻出ています。昨年11月のKCクラブでは上巻をご紹介いたしましたので、今回は中巻をご紹介したいと思います。

 

この中巻の「第37章 意思決定」のうち、特に日本企業の意思決定について取り上げられている部分をご紹介したいと思います。
皆様の会社における意思決定に当てはまるかどうかも想像しながらお読み頂ければと思います。

 

まずドラッカーは日本意思決定の特徴を冒頭でこのように紹介しています。
「日本については見解の一致があるとすれば、企業にせよ政府機関にせよ、コンセンサス(合意)によって意思決定を行っているという点である。日本では意見の一致を見るまで、組織をあげて議論する。決定を行うのはその後である。」

 

これはよく指摘されるところです。特に共同作業が必要とされる稲作を起源にもつ日本社会では、共同での意思決定が重んじられるとも言われます。

 

共同で意思決定を行うとなると、何も意思決定ができない恐れもあります。しかし、ドラッカーは日本では合意の意思決定ながらも、歴史的には180度の方向転換も含む意思決定を行ってきたと指摘しています。

 

ただ一方で、合意を得る為の時間を必要とする為、経営のスピードアップを損なうことも懸念されます。

 

次に、日本の意思決定の特徴として、意思決定の対象についても言及しています。
「欧米では、意思決定の力点は問題に対する答えに置く。意思決定についての文献も、答えを得るためのアプローチに重点を置く。
ところが日本では、意思決定で重要とされるのは問題を明らかにすることである。そもそも意思決定は必要か、そして何についての意思決定かを明らかにすることである。彼らはこの段階でのコンセンサスの形成に努力を惜しまない。この段階にこそ意志決定の核心があるとする。(中略)
日本の方式は問題の理解に焦点を合わせている。目指すものは行動と姿勢の変化である。したがって、あらゆる代案が検討の対象となる。日本の方式は本質を見ざるをえなくする。何についての決定であるかが決せられるまでは、いかなる行動も許されない。」

 

これはビジネス等の現場でも実感として感じられる方が多いのではないでしょうか。
改革や改善活動を行うにあたっても、「この取組みを行うのは、このようなことが問題だからである」という合意がないと、なかなか取組み課題の検討に進むことができません。

 

このような意思決定のスタイルは、問題意識を組織内で共有し、かつ納得して進むことができる為、解決策の取組みの推進に繋がると思います。

しかしながら一方で、問題がそう頻繁に変わらないのであればよいのですが、現代のように環境変化が激しく、問題が頻繁に変わったり、新しい問題が次々と発生する場合にはどうなのでしょうか。そうでなくとも合意が重んじられる日本の意思決定スタイルでは、問題設定に対する意思決定が行われる間に問題自体が変わったり、新しい問題が発生するようなことにはならないでしょうか。

 

私はこのような意思決定スタイルが、日本の経営スピードが遅くなっている一因ではないかと感じています。問題自体は経営トップから提起しつつ、その解決策について検討し、意思決定し、実行に移すことが、現代の環境変化に合っているように思います。

ドラッカーは日本の意思決定の特徴のまとめとして、以下の5つを上げています。
「第一に、何についての決定かを決めることに重点を置いている。(中略)
第二に、反対意見を出やすくしている。コンセンサスを得るまでの間、答えについての議論はしない。あらゆる見方とアプローチを検討の対象としている。
第三に、当然の解決策よりも複数の代案を問題にする。
第四に、いかなる地位の誰が決定すべきかを問題にする。
第五に、決定後の関係者への売り込みを不要にする。決定のプロセスの中に実施の方策を組み込む。」

 

このような洞察、分析も踏まえながら、今後の環境変化に向けて、日本の意思決定のよい所は残しつつも、より経営のクオリティとスピードアップに向けた意思決定スタイルの見直しを追求する必要があると思います。

 

この他にもドラッカーの「マネジメント」には多くの経営に関わる洞察が紹介されており、経営の実践においても大変参考になるものが多くあります。

 

もしご興味を持たれた方は、エッセンシャル版も含めて手に取って頂ければと思います。


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