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サービス業での人材争奪戦が始まる

経済トピック
2022.03.24

18日にJTBが発表した2022年の年間旅行動向見通しによると、コロナの感染拡大がある程度抑制された状態が続いた場合、国内旅行者数は26千万人と、2021年の約2倍に増えると予想しています。これはコロナ禍前の2019年と比較しても89%の水準です。

依然として不透明な部分はありますが、2022年は行動制限も大幅に緩和され経済も生活もコロナ禍前にだいぶ戻りそうです。

 

コロナ禍では製造業のように業績の変動が少なかった業種もあれば、飲食や観光のように大きく落ち込んだ業種もありました。行動制限が緩和されれば大きく落ち込んだ業種ほど需要増加の反動が大きくなります。その際に問題になるのは人手を確保できるかどうかです。コロナ禍で需要が大きく落ち込んだ業種ではアルバイトなどの非正規社員を中心に従業員の削減を進めました。この判断は先行きが見通せない中、企業として存続するために致し方ない判断だったと思います。しかし、スキルやノウハウを持ったアルバイトを削減したことで対応できるキャパシティが大幅に低下している企業や店舗が多いと考えられます。

 

昨年の秋口、緊急事態宣言が解除され人流が大幅に増加しました。飲食店でお酒の提供も再開した時期でもあり、ある地方の割烹料理屋さんで会食する機会がありました。入店すると席の埋まり具合は3割ほどで、人流が増加したとはいえ、コロナ禍前と比べると空いているなという印象です。それにもかからず、飲み物が出てくるのにかなりの時間を要しました。また注文したイカの天ぷらは、衣が非常に厚く明らかに粉に対する水の量が足りないのが分かるようなものでした。その割烹料理屋さんは以前も利用したことがありますが、その時と比べて明らかにサービス品質が低下していました。店員さんに聞いてみると、店長以外はほとんどが最近入ったばかりのアルバイトということでした。慣れないアルバイトが中心でオペレーションがきちんと回っていなかったようです。また当時はアルバイトが確保できないためやむなく臨時休業していた飲食店もあり、急な需要増加に対応できていない店舗も多かったと思われます。

 

JTBの見通しにあるように、国内旅行者数が昨年の約2倍となれば飲食や観光など関連業種人材需要も増加します。直近で発表されている1月の有効求人倍率は1.2倍と求人数(仕事の数)が求職者数(仕事したい人の数)を上回っており、依然として人手不足の状態が続いています。経済の回復に合わせて、人手不足が加速することは間違いありません。特に需要の反動が大きいサービス業においてはアルバイトやノウハウのある人材の争奪戦が繰り広げられるのは必至です。先行きの見通しは難しいところもありますが、来るべき需要の回復に向け、各種サービス業はサービス提供体制を整えておく必要があります。


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