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エネルギー・食糧の価格高騰で懸念される生活困窮世帯の家計

経済トピック
2022.05.06

電力大手10社が6月の電気料金を発表しましたが、比較可能な過去5年間で最も高い水準になる見通しです。平均的な使用量の家庭の電気料金(消費税込み)は、東京電力で8565円と1年前と比べると1652円、割合にして2割以上も上がっています。また5月1日からは量販店などで販売されている大容量ペットボトル飲料やケチャップ、外食では牛丼や餃子など次々に値上げが行われています。エネルギーや食糧のような生活必需品の値上げは幅広い世帯の家計負担を増加させますが、その中でも影響が懸念されるのが生活困窮世帯です。

意外に思われる方もいるかもしれませんが、実は日本の貧困率は先進国の中でも高い部類に入ります。相対的貧困率でいうと先進国35カ国中ワースト7位、G7中では米国に次いでワースト2位となっております。(OECD対日経済審査報告書 2017年版)

 

なお貧困には絶対的貧困と相対的貧困があります。絶対的貧困とは、住む国や地域を問わず人間として最低限の生活をも営むことができないような状態を指します。その日に食べる物や寝る場所にも困る状態であり、世界銀行が2015年に設定した国際貧困ラインである11.9ドルを下回る生活です。もう一方の相対的貧困とは、住む国や地域の文化水準、生活水準と比べ、適正な水準での生活を営むことが困難な状態を指します。例えば子どもの場合であれば、経済的な理由で周りの多くの友達が持っているゲーム機を買ってもらえない、習い事をさせてもらえないなど、他の人が当たり前にしていることができない状態です。なお相対的貧困の定義は、世帯の所得が等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態のことです。中央値の半分にあたる金額を貧困線と言い、日本における直近の調査による貧困線は4人世帯では約248万円となっています。つまり夫婦と子ども二人の世帯で手取り20万円あたりが貧困の基準になります。

現在の日本では生活保護のような公的扶助が充実しており絶対的貧困の状態にある世帯はほぼ無いと思いますが、前述したように相対的貧困が大きな問題になっています。日本の相対的貧困率は全体で15.7%、子どもの貧困率は14.0%となっており子どもの7人に一人は貧困状態にあります。一クラスあたり56人が貧困世帯だと思うと結構な人数ですね。

私の妻は埼玉県で公立小学校の事務の仕事をしていますが、話を聞くと給食費や修学旅行費などが支給される就学援助を受けている児童がとても多いことに驚きます。昨年は“親ガチャ”という言葉が流行語大賞にノミネートされましたが、その背景にはこのような根深い問題がある訳です。

 

政府は426日の関係閣僚会議で物価高騰への総合緊急対策を決定しました。石油元売りへの補助金拡充のほか、低所得の子育て世帯に子ども一人当たり5万円、新たなに住民税非課税になった世帯に10万円に支給するなど生活困窮者支援も広げています。

ピンポイントの支援というのは選挙での得票に繋がりにくいものですが、今後も本当に困っている人を支援する政策を打ち出してもらいたいものです。


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