閣議決定された「骨太の方針」を読む | コンサルタントコラム | 中堅・中小企業向け経営コンサルティングの小宮コンサルタンツ
loginKC会員専用お問い合わせ

コンサルタントコラム

ホームchevron_rightコンサルタントコラムchevron_right閣議決定された「骨太の方針」を読む

閣議決定された「骨太の方針」を読む

経済トピック
2022.06.10

政府は67日に「骨太の方針」を閣議決定しました。今回はこの「骨太の方針」からいくつかのトピックをご紹介しつつ、今後の経済について考えてみたいと思います。

 

そもそも、「骨太の方針」は通称であり、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」といいます。2001年から毎年6月頃に閣議決定されていますが、開始当初は当時の小泉政権が郵政民営化や不良債権処理等の政策を進める原動力としました。今回も、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の政策が盛り込まれています。

 

それでは、骨太の方針の中の文章からいくつかトピックをあげていきます。

 

「「人への投資」を抜本的に強化するために2024年度までの3年間に4000億円規模の予算を投入。デジタルなど成長分野へ移動できるよう強力に支援する。」

日本は先進国の中でも人的投資が対GDP比でも相当低く、特にデジタル化対応に向けた投資が不十分と指摘されています。こうした指摘も踏まえ、政府は社会人のデジタルスキル等向上に向けた職業訓練機会を増やしていく予定です。

 

私がご支援させて頂いている中でも、社員の方々のスキルやアイデアを新規事業のエンジンとされている企業様もいます。これからは社員の方々のスキルやアイデアが競争力の源泉になると思います。

企業には国による人材投資の施策もよく確認し、活用していくことも求められます。

 

50年のカーボンニュートラル実現へ、今後10年間に150兆円超の官民の投資を先導するため、十分な規模の政府資金をGX経済移行債(仮称)で調達することを検討する。」

ウクライナ危機以降、化石燃料等のエネルギー高騰は非常に大きな問題となっています。その対策として水素や再生可能エネルギーを強化する必要がありますが、その為には投資財源が必要です。今回の骨太の方針では、その財源が明示されました。今後、脱炭素に向けた投資が更に活発化することが想定されます。

 

「新たな国家安全保障戦略などの検討を加速し、防衛力を5年以内に抜本的に強化する。」

ウクライナ侵攻をきっかけとして、対中国、対北朝鮮を意識して、防衛力の強化が国内外で求められています。強化目標の具体的水準は骨太の方針内では言及されていないものの、NATO諸国が求められているGDP2%が意識されています。現状の防衛費は5兆円、GDP1%弱ですので、約10兆円程度が想定されます。

 

ここまでの人、環境、防衛への各支出は拡大する方向であり、元々厳しい財政状態の悪化が懸念されますが、その点については骨太の方針で以下のように記載されています。

「財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む。経済あっての財政で現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならない。」

つまり財政健全化は目指しつつも、経済状況に応じて必要な支出を行っていく、ということになります。

 

個人的には少し総花的のようにも思いますが、方向付けがなされたことはとてもよいことです。今回掲げられたことの着実な実行を期待したいと思います。


お問い合わせCONTACT US

コンサルティング、セミナー、KC会員についてなど、
お気軽にご相談ください。