都(すべ)て眼前(がんぜん)に来(き)たる事は、足るを知る者には仙境(せんきょう)、足るを知らざる者には凡境(ぼんきょう)なり。( 「菜根譚」後集二十一 抜粋)
目の前にあるすべてのことは、満足することを知っている者には理想の世界である。だが、満足をすることを知らない者にとっては世俗の世界にすぎない。
(「決定版 菜根譚」守屋洋著 より)
「足るを知る」と言う言葉は、ともすれば向上心がないように受け止められてしまうこともあります。
今に満足をすることになるので、より志を高くなれる最高の自分を目指す上で、言ってみれば、「今もそこそこなれる最高の自分かもしれない」と思うことにもつながるからです。
私自身は、この「足るを知る」と言う言葉を、今ある環境に対して前向きに捉えることと今への感謝につなげることが大切だと考えています。
志高くなれる最高の会社やなれる最高の自分を目指す過程においても、逆境や踊り場がついてまわります。
当たり前ですが、人も会社もとんとん拍子に直線的に成長するわけではありません。
そのような状況の中で、今をありがたく思い、今の状況を感謝しそこからエネルギーを得てその道の過程の逆境や踊り場と向き合うと言うスタンスが必要になるのだと思います。
そして、今をしっかりと認識し今に感謝するとともに、今の状況に決してあぐらをかくわけではなく、今の状況への感謝をエネルギーにしてまた志高く進んでいけば良いのだと思います。
時に、今を前向きに受け止めたとしても、今へあぐらをかきたくなって先に進むエネルギーが出てこない時もあります。
逆境や踊り場が続いて心のエネルギーが枯渇しているような時によく起こることです。
程度問題ではありますが、それも全て偽らざる自分自身の実感であると言うこと、それを自覚することも大切なのだと思います。
時にに現状を否定し、自己否定をしながら進んでいかなければならない経営の実践の中で、その否定をする対象になるかもしれない今を見つめていただくこと、しっかりと感謝をした上で先に進んでいくことも大切なのだと思います。
お盆の時期で、お休みをとられている皆様も多くいらっしゃることと思います。
「足るを知る」ことで今を見つめてみることは、そんな「今」を作り上げてくださった先人への感謝とともに、自分自身の心のエネルギーの状態を見つめ直す良い機会でもあると思います。