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成果と結果

小宮一慶のモノの見方・考え方
2022.09.13

私は最近講演などで、よく「成果と結果の違いを理解することが大切」というお話をします。企業にとって成果とは「商品やサービス」です。「成果物」という言い方をしますね。結果は「売上高や利益」です。お客さまが求めているのは「成果」です。
売上高や利益は、その結果もたらされるものです。「成果(商品やサービス)」の評価が「結果(売上高や利益)」なのです。商品やサービスが良ければ、売上高や利益が「結果として」ついてくる、それもその良さの度合いで結果の数字も変わってくるということです。

 

これは何も会社全体だけのことでなく、働いている社員も求められているのは一義的には成果です。お客さまへの提案や社内のレポートなど色々とありますが、それらは成果(成果物)なのです。
その結果、評価が高まり、ボーナスが増えたり、昇給、昇格したりするのです。こちらは結果ですね。

 

これは、ピーター・ドラッカー先生が、マネジメントに求められる第一として「特有の使命を果たす」と言っていたことや、私の人生の師である曹洞宗円福寺の故・藤本幸邦老師が「お金を追うな、仕事を追え」とおっしゃっていたことと同じです。
社会や周りの人が求めているのは、「成果」つまり、アウトプットなのです。会社や働く人の売上高、利益やボーナスや地位ではないのです。

 

この理屈を分かる人は多いと思いますが、実践ではなかなか難しいのです。なぜなら、経営や人生には関わる人の「私利私欲」が大きく関係するからです。生き方の勉強をきちんとしていない人は、経営者でも、どうしても公私混同をしがちです。
もちろん、この文章を書いている私も聖人君子ではありませんから、間違いは多々犯しますが、それでも、20人ほどの自社を経営する場合にも、また、お客さまにアドバイスする場合にも、公私混同が起こっていないかをとても注意深く見ています。

 

藤本老師は「お金は魔物」とよくおっしゃっていました。正確には「お金はないと不自由だが、お金は魔物」だとおっしゃっていたのです。お金はないと不自由なので、皆さん、がんばってお金を稼ごうとします。そのこと自体は悪いことではありません。
しかし、少しがんばってお金が稼げるようになると、お金の魔力にとりつかれるようになってしまう人も少なくないのも現実です。レストランやホテルでもお金があるとちやほやされます。中には自分が偉くなったと勘違いする人もいます。それはお金でなくても、地位でも同じです。

 

そうすると、モノの道理や正しい生き方が分かっていないと、上でお話した「結果」ばかりを求めるようになります。「お客さま第一」と言っていた経営者も、その「お客さま第一」が、結果である売上や利益を得るための手段となります。
もっとひどいのになると、「3日間で120億円の利益を出してこい」と部下に命じて不正会計を部下がやらざるを得なくなった東芝のおろかな社長のように、結果だけを求めるようになるのです。他社に勝てる利益を出せば、経団連会長にだってなれますからね。(結局は犯罪者となりましたが、・・・)

 

会社経営においても、人生においても、求められているのは「成果」であるということを認識すれば、お金の魔力にとりつかれて誤った人生を送らなくて済むのではないでしょうか。
さらには、そのことが分かった人のほうが、お客さまや周りの人、社会は評価しますから、結果的に金持ちになり、かつ幸せに生きることができていることも間違いないでしょう。


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