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素直の本当の意味・・・円安を活かす

小宮一慶のモノの見方・考え方
2022.10.11

松下幸之助さんは「素直」ということをとても大切にされました。「人が成功するためにひとつだけ資質が必要だとすると、それは素直さだ」とまでおっしゃっています。そして、その「素直」ということは、「受け入れる」ということと、「前向きに対応する」ことだとも述べておられます。

 

日本では「円安」が急速に進みました。テレビを観ていても、「ハワイに行ったら、スパムのおにぎりが1000円」というような話が流れていますが、この際は「円安」をもっと前向きにとらえ、日本経済再生の起爆剤とするというような気構えが必要なのではないでしょうか。

 

円安を活かすには、つぎの3つが有効だと考えます。

ひとつは、訪日客の増加です。インバウンドです。これはうまくやれば即効性があります。先日、当社のお客さまから、「米国でホリデーインに泊まったら1泊700ドルでした」という話をうかがいました。今では700ドルは10万円を超えています。日本で10万円出せば、超高級ホテルに泊まれます。超高級旅館で2食付きでもひとりならそんなにはしません。

 

私は、たまに牛丼のすき家で朝食を食べますが、好きな「納豆・牛まぜのっけ朝食」でも400円しません。3ドル以下です。おそらく、ニューヨークの街角のカジュアルなお店で朝食を食べると、20ドルくらいはすると思います。

 

外国人旅行客を今こそ誘致すべきです。外国人向けに新幹線などJRの鉄道運賃が安くなる「ジャパンレールパス」の料金を下げるなどの施策に政府が補助金を出すなどが有効だと考えます。

 

さらには、輸出を促進すべきです。こちらはインバウンドほどすぐではないですが、やはり即効性があります。自動車や機械、アニメなどにとどまらず、私は、今は日本の農水産物や食品の輸出を促進すべき時だと思っています。

 

日本の農水産物や食品は、中国はじめ多くの国で人気があります。とくに今は米の輸出を促進すべき時です。小麦が高騰しており、米はその代替品になりやすいです。米粉のパンも日本では普及しています。米国では、小麦由来のグルテンを健康上の理由で回避する人も増えており、スーパーなどでは「グルテンフリー」の表示をよく見かけます。

 

いずれにしても、米をはじめとした農水産物や食品を輸出する大きなチャンスです。

最後に、製造業の国内回帰の促進です。半導体大手のTSMCは熊本県菊陽町に大規模な工場を作りましたが、外国企業にとっても、この円安はとてもメリットがあります。

 

また、ロシアのウクライナ侵攻にともない、中国の台湾統一も現実味を帯びてきていますが、経済安全保障上も、中国に進出している日本の企業にはリスクがあります。とくに、中国が台湾に侵攻した場合には、日本企業の中国での経済活動に制約が出る可能性もあり、部品や製品の日本への輸出が滞る可能性もあります。

 

この際は、円安を利用して、また、政府が補助金を出すなどして、日本の製造業の日本回帰を促す時ではないでしょうか。製造業の回帰は、製造技術の向上をもたらすとともに、国内での雇用や税収の確保に役立ちます。

 

いずれにして、インバウンド、輸出、製造業の日本回帰などで、この円安を「素直に」活かすことが大切なのではないでしょうか。


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