中国共産党の幹部人事等を決める共産党大会が16日に開幕しました。今回は習近平氏の体制が3期目に入ることが確実となっていますが、新たな党体制の元で、どのような経済政策が打ち出されていくかも注目されています。
中国経済は急速に成長が鈍化しつつあります。2022年の国内総生産(GDP)の伸び率は日本経済新聞がまとめた現地エコノミストの予想では3.2%となっています。この成長率は、21年の8.1%からも大きく低下する他、この約30年でみても非常に低い成長率となります。
この原因として大きく取り上げられるのは、「ゼロコロナ政策」と「低迷する住宅市場」です。
「ゼロコロナ政策」については色々な所で報道されているので、ご存知の方も多いと思います。
ゼロコロナ政策は党大会後に規制緩和されるのではないか、という期待もあったようですが、中国共産党はしばらくゼロコロナ政策を維持する姿勢です。
「低迷する住宅市場」も景気低迷の大きな要因となっており、日本の1990年代の住宅バブル崩壊に似ているという声もあるほどです。
これまで住宅価格が右肩上がりだった中国ですが、ここに来て減少に転じ始めているとも言われます。
そのきっかけとして、2020年~2021年に銀行が不動産開発会社への融資を規制し始めたことがあります。このことにより、不動産開発会社の資金繰りが厳しくなり、不動産開発が停滞し始めました。
また、建設工事がストップしたマンションプロジェクトで、購入者が住宅ローンの返済ボイコットを宣言するようなことも増加しています。こうしたことも不動産開発を冷え込ませている要因となっています。
こうした住宅市場の低迷は、中国の金融システムの停滞や、地方財政の悪化に繋がる懸念があります。
不動産業界に多額の融資を行っている銀行は、住宅市場の低迷により大きな不良債権を抱えることとなります。これは、日本の1990年代のバブル崩壊と全く同じ構図です。
また、中国の地方政府にとって不動産から上がる収入は主要財源の一つです。不動産市場の低迷は地方政府の財源収入減少に繋がり、財政支出も減少します。これも中国景気を更に悪化することとなります。
このような「ゼロコロナ政策」や「低迷する住宅市場」等による中国経済の低迷は、中国でビジネス展開する企業の業績に大きく影響を与えてきます。
実際、今後の企業業績を見越して評価される株式市場では、中国売上高が高い企業ほど厳しい評価を受けています。日本経済新聞の集計によると、中国売上高が5割を超す企業群の株価が、5割以下の企業群に比べて低調であると報じています。
こうした株価の動向は今後人口減少に直面する中国の消費市場も考慮されていますが、いずれにしてもかつてほどの中国経済の成長が期待されていないことは間違いありません。
今や生産地としても消費地としても日本とは深い関わりがある中国。その中国経済の動向は今後も目が離せません。