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円安で日本の人手不足が加速する

経済トピック
2022.10.28

21日の外国為替市場で円相場が1ドル151円台まで下落し、1990年以来32年ぶりの円安・ドル高水準を更新しました。アメリカでは高いインフレ率と強い雇用を背景に更なる利上げが予想され、日米金利差の拡大から円安は更に進む可能性があります。

急激な円安の影響で輸入物価が上がり、国内でも食品やエネルギーを中心に価格が上昇しています。賃金の上昇が物価の上昇においついておらず家計を圧迫する要因になっています。

 

今後円安が定着した際の懸念として挙げられるのが国内の人手不足です。

少子高齢化が進み生産年齢人口が減少している日本では技能実習生を始め、多くの外国人労働者が雇用を支えています。元々賃金が上がらず主要国のなかでも賃金が低かった日本ですが、今回の円安局面で外国人にとっての賃金面での魅力が減ったのは間違いありません。

 

今年の世界経済フォーラムで発表された各国の最低賃金/時給を日本円に換算(1ドル150円換算)すると下記のようになります。

・ルクセンブルク(15.87米ドル)≒2380円

・オーストラリア(14.97米ドル)≒2245円

・英国(11.43米ドル)≒1715円

・ドイツ(10.59米ドル)≒1590円

・日本(全国加重平均額)961円

 

アメリカのカリフォルニア州の最低賃金は現在15ドル(2250円)ですが、2022年9月「ファスト法」成立に伴いファストフードの従業員の最低賃金は2023年1月から22ドル(3300円)に引き上げられます。

 

母国への仕送りを目的に外国で仕事をしている労働者であれば、仕送り額が多いにこしたことはありません。年初から対ドルで約3割の円安が進んでいるということはドルで仕送りしている場合、額が3割減るということです。

働く国を選ぶということはお金だけでなく、生活環境や仕事の慣れ、人間関係など様々な要素があるため為替が動いたからすぐに労働移動が起きるというものではありません。しかし中期的には日本における外国人労働者が流出する可能性は高いと思います。

 

なお、流出するのは外国人労働者に限った話ではありません。日本人でも働く場を海外に移すという流れも増えていくと思います。

先日、報道番組でカナダでワーキングホリデーをしている日本人の特集をしていました。現地で日本食レストランのホールでアルバイトをしているそうですが、月に稼ぐ金額は43万円ほど。日本でフルタイムの仕事をしていた時の倍の金額だそうです。

元々、自動車メーカーや電機メーカーの優秀な研究者・技術者は海外のメーカーにスカウトされ人材の流出が続いていました。しかし最近では寿司職人、美容師など日本の繊細で丁寧な仕事をする日本人の職人のニーズが高まっているそうです。Withコロナでグローバルな人の移動も広がってきており、今後高賃金を求めて海外に移住する人材も今後増えると思われます。

 

日本の労働力の流出を防ぐためにも、企業として生産性を上げ、魅力的な待遇をすることが非常に重要になってくると思われます。


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