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危機が幹部を強くする

知恵のバトン
2023.02.28

今日は中堅・中小企業の経営幹部の育成について考えてみたいと思います。

企業を訪問する中で、この点において難しさを感じている経営者の方が多いことを実感しています。この問いは私も命題として模索中ではあるのですが、あるメーカーさんとの取り組みの中で、気づいたことがありました。それは「危機が幹部を強くする」ということでした。

■あるメーカーさんの事例
その会社は、2年前にはじめて経営計画書の作成に取り組みました。経営者だけではなく、幹部も交えて作成を行いましたが、その中で幹部からは意見がなかなか出てきませんでした。発言があっても、主体性が薄い受け身な発言が多い状態でした。そういった中で経営計画書が何とか完成。
経営計画書を作成した年の前半は、コロナの影響もあり、例年に比べ、受注が減っている状況だったのですが、後半になるとコロナが落ち着き始め、想定外に受注が大幅に増え、過去最高の受注量に。その影響で、製造ラインは一気にいっぱいいっぱいになりました。
このメーカーは、労働集約的な側面が強く、製造は想定以上の受注をどうやって生産していくかの計画の采配が求められるとともに、連日、残業や休日出勤での対応を余儀なくされ、人のやりくりに苦慮する日々が続きました。営業は、受注が受けきれないため、納期の延期の相談や数量の調整、ひいては受注に断りを入れる対応などに奔走。これまで対応したことがない受注の増加により、体制面で危機的な状況を迎えました。
今までの延長線上のやり方では対応が難しい状況となり、幹部は会社としての方針やルールの変更を短い時間の中で、決めて実行するということをこの機会を通して多く経験することとなったのです。幹部が一丸となったことで、この大変な状況を乗り切ることができました。
その後、来期の経営計画書をつくる時期となり、再び社長・幹部の方々で話し合いが行われることになりました。すると、ある変化が起こりました。前年に比べ、幹部の方々から前向きな意見が出るようになったのです。私は幹部の方々の「会社を経営する」ということへの責任感が増しているように感じました。危機的な経験を通して、幹部の方々が「短期視点から長期視点に」、「自部署の視野から会社全体の視野に」変化したのだと感じました。

■「逆境」の機会をどう活かすか?
古典の中には「逆境は良薬」という言葉があります。「逆境」がその人を磨く特効薬になるという意味です。
現在、ウクライナ侵攻や円安、物価高などの問題により、経済の先行きは不安定なものになっており、中堅・中小企業にとっても望ましくない影響を及ぼしています。いわば「逆境」の状態です。しかし見方を変えてみると、この機会を会社に、組織にどう活かすのかが問われているとも感じます。

 


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