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10年後の中途採用の景色を予想してみた

知恵のバトン
2023.08.22

今日は、10年後の中途採用がどのようになっているかということについて考えてみました。
というのも先日、とある採用サービスを展開している企業の方に会い、その話がなかなか衝撃的だったことが、このことを考えたきっかけになりました。

■なくてはならない存在になったダイレクトリクルーティング
中途採用の手法もいろいろと多様化してきていますが、その中でも有力な手法となっているのが【ダイレクトリクルーティング】だと思います。

ダイレクトリクルーティングで有名なサービスが『ビズリーチ』。
ビズリーチに登録をしているユーザーに対して、企業側がスカウトを送り、接点を持ち、採用へつなげる手法です。

なぜ有力な手法になっているのかというと、それまでの採用手法はすべて受け身だったからです。広告にしても、エージェント(紹介会社)にしても、採用する企業側は待ちの状態。企業側が主体的に動いて採用する手法がなかったのです。

10年ほど前に、私が今の会社(10名の小さな会社)で採用の責任者を任されたときの課題はまさにこれでした。待ちの状態だと、知名度の低い企業や中小企業は、どうしても不利になります。広告では資金力のある企業が優位に立ちますし、エージェントは決定しやすい企業を勧める傾向にあるため、大手企業が優位に立ちます。そうなると、待てども待てども応募者が来ない。

その時、出会ったのがビズリーチでした。喉から手が出るほどほしかった攻めの採用手法だったので、すぐにサービスの説明会に参加し、サービスを開発した背景も自分の課題感と一緒だったため、すぐに使い始め、結果を出すことができました。

現在の採用環境はとても厳しいです。ホテル・飲食業は、コロナが落ち着き始め、人手が必要な状態ですが、不足感が否めません。介護業界、運送業界は慢性的に人手が不足しています。IT、コンサル、施工管理の職種は、企業のニーズが高く、年収も高騰している状態です。

そのため、待ちの採用では、この状況を打開することは難しい。そこでダイレクトリクルーティングが有力な手法になっているというわけです。

■先日出会ったザイオンデータという企業
自社の社員の紹介で、先日『ザイオンデータ』という企業の方にそのサービスの話を聞く機会を得ました。

その企業のことを知ったきっかけは『採用テック、転職潜在層と接点探る XAIONはSNS活用』という日経新聞の記事でした。その時は「AIを使った新たな採用手法が出てきたんだな」というくらいの認識で、たまたま自社の社員がザイオンデータの方と知り合って、採用担当の私に声をかけてくれて、興味もあったので会うことにしたのでした。

そこで私は、ビズリーチの時と同じくらいの衝撃を受けました。

ザイオンデータは『オートハント』というサービスを提供している会社で、どんなサービスなのかを説明します。

SNSの中で自分の経歴などが書かれているものがあります。リンクトインやウォンテッドリー、フェイスブックなどがそれにあたります。そういった経歴がオープンになっているSNSに対して、ザイオンデータが提供する共通のプラットフォームからスカウトを送れるサービスがこのオートハントというサービスになります。費用は、システムの使用料で決して高いものではありませんでした。

■何が衝撃的なのか?
このサービスを使うと「あの企業の●●さんをピンポイントで狙って採用しよう」ということができるようになります。いわゆるヘッドハントです。

今までは、ヘッドハントをするには、サーチファーム(ヘッドハントの依頼を受け、該当の人材と接点を持ち、選考までつなげる採用会社)に高い報酬を払わなければならず、資金力のある企業でなければ、使うことが難しい手法でした。

しかしこのサービスを使えば、どの企業でもヘッドハントをすることができるようになるんです。これは画期的です。

さらに言うと、これまではクローズドなデータベースにしかアプローチができなかった(例えば、ビズリーチに登録をしている人にしかスカウトが送れなかった)のが、言い方に語弊はありますが、誰にでもスカウトを送ることができるようになります。これは、ビズリーチからすると、とても脅威となるサービスになります。

もし、この採用手法が主流となるとどうなるかというと、転職のきっかけがヘッドハントということが当たり前になる可能性があるということです。そして、人材の流動化も今以上に進んでいくことが予測されます。

■このサービスが主流になった際に企業に求められること
そうなった際に、企業側に求められることは、
・採用戦略を今以上にしっかりと考えること
・応募者を惹きつける魅力をつくること
・応募者を口説くことができる人材を育成すること
ではないかと考えます。

ヘッドハントという手法は、その企業で活躍している人への採用活動であり、転職意向のない人への採用活動になります。そうなると、必然的に時間軸は長くなることが予想され、転職意向のなかった候補者を振り向かせるために、長期的に戦略的にアプローチを行っていく必要があるからです。

ザイオンデータのオートハントというサービスをぜひ今後も注目していきたいと思います。


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