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ビッグモーターの誤り・・・『お金を追うな、仕事を追え』

小宮一慶のモノの見方・考え方
2023.08.22

皆さんもご存じのように、ビッグモーターで耳を疑いたくなるような不祥事が起こりました。修理に出した車に、故意に傷をつけることで、損害保険の請求額を水増しするなどをしていたとのことです。買い取った中古車でも、事故車をそうでないように偽って売っていたという話も出ています。さらなる不祥事が出るかもしれず、今後の展開から目が離せません。

そもそもなぜこんなことになったのでしょうか。私は、いつも経営者の人たちに話しているように、経営の原理原則や正しい生き方の勉強をしていなかったからだと思います。

今回のケースは、保険金の詐欺で犯罪行為なので論外ですが、「お客さま第一」という経営の一番の原理原則を外しているようではビジネスがうまくいかないのは明らかです。ピーター・ドラッカー先生が言うまでもなく、「企業の一義的価値は企業外部にある」のです。私の人生の師匠の曹洞宗円福寺の故・藤本幸邦老師は「お金を追うな、仕事を追え」とおっしゃっていたのも同じことです。お客さまや社会をないがしろにする経営は、しょせん成り立たないという当たり前のことが分からないのかと、経営コンサルタントとしてとても悲しくなります。

ビッグモーターの経営計画書がテレビで映っていましたが、一倉定先生の門下生たちが活用していた経営計画書と外見だけはとてもよく似ています。

また、計画書の中身は、一部の表現はとてもひどいものですが、まともな部分では一部は稲盛和夫さんの考え方などもベースにしているのではないかと思われるものもあります。

一倉先生が最も大切にしておられたことはいうまでもなく「お客さま第一」ですし、稲盛さんの京セラの『京セラフィロソフィー』でも、お客さま第一の大切さを強調されています。さらに稲盛さんは、「土俵の真ん中で相撲を取る」というように「正々堂々」など「正しい考え方」でビジネスをすることの重要さを強調されています。

ビッグモーターが一倉先生や稲盛さんを参考にしていたかは分かりませんが、もしそうだとするとお二人に対する最悪の冒涜だと思います。

もうひとつ、これもいつもお話ししていることですが、「目的」と「目標」の違いも全く分かっていないと言えます。売上高や利益は「目標」です。「目的」はなんのために自社が存在しているかです。社会やお客さまに貢献する、従業員を幸せにするなどです。「3日間で120億円の利益を出せ」と社長に命令され、その結果不正会計を行い、完膚なきまでに分解された東芝と本質は同じです。

円福寺の藤本老師は「お金はないと不自由だけれども、お金は魔物」ともおっしゃっていました。がんばって事業を大きくして、期せずして一般の方が得られないようなお金を得ると狂ってしまう人も、仕事柄少なからず見てきました。やはり、ビジネスを順調に伸ばし、人間としても間違った生き方をしないためにも、ビジネスの原理原則や正しい生き方を勉強しなければならないとつくづく思います。いずれにしても犯罪は論外です。ドラッカー先生がいうまでもなく、犯罪行為を行う企業は社会における存在を許されないのです。


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