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1on1ミーティングがうまくいかないのは上司のせいか?

知恵のバトン
2023.08.22

部下と上司が1対1で行う定期的な対話や面談、いわゆる「1on1ミーティング(以下、1on1)」を実施する企業が増えています。一方で、「実施してはいるものの、うまくいっていない」という声もよく聞きます。その際、「1on1がうまくいかないのは上司のせい」だとする意見もありますが、これは性急な結論だと思います。

BizHintのアンケート調査結果では、1on1を進めるにあたって例えば外部講師のレクチャーを受けるなど、1on1の考え方ややり方を「教えてもらったか」という点について、ほとんどの方がNOと答えていると紹介しています。また、7割以上の人が、1on1のサポートをする仕組みも受けていないそうです。

1on1は、本来とても難しいものです。

例えば、企業活動や部下マネジメント・部下育成において、コーチングが重要だと認識されています。しかし、コーチングがそれほど簡単ではないことは、コーチングを実践した経験のある方なら誰しも理解していることです。

1on1はコーチングに特化した場とは限りません。1on1の目的の設定いかん、部下を取り巻く状況いかんによって、当該1on1がコーチング的なかかわり方の比重が高くなるかもしれませんし、ティーチング的なかかわり方が主になるかもしれません。そうした判断をしながら、コーチングとコーチング以外のやり方を併用しながら対話を組み立てていくことだと、イメージできます。だとすると、コーチングに特化する場に比べて変数や判断要素が多く、自ずと1on1のほうがコーチングより難易度が高いのではないかと想定できます。

私たちは、「対話」と聞くと、「何となく会って話せば成立するもの」と捉えがちな面があります。しかし、そうではなく、有機的な対話というのは本来とても高い技術が必要な、難しいものです。

また、私たちは未経験の物事や事象については、自力で想像できることも限られます。
自分自身が部下として1on1なるものを経験していない上司が、部下に対して実践することは、自分が未経験のことを想像しながら行うということです。それでも想定力の高い上司は、1on1の本質や置かれた環境を自分なりに考察して的確に取り組むことができるかもしれません。しかし、多くの上司にとっては難しいのではないでしょうか。

他にも、年齢が逆転して上司のほうが年下になるというケースが出てきた、人材の同質性が高かった職場に初めて異性の部下がやってきた、初めて外国人を登用したなど、以前には見られなかった新しい関係性という状況もあるかもしれません。

このような背景も踏まえると、1on1の導入当初からいきなりうまくいくということのほうが、珍しいというぐらいの認識が適切かもしれません。

ですので、社をあげて1on1に取り組む、浸透させて組織活動の生産性を上げていくというのであれば、会社からの相応の組織的な支援がなされてしかるべきだと言えます。例えば、次のようなことが考えられます。

・上司自身が1on1で話をきかれる体験をする。きく人は社長や役員など、上司の上司。
・1on1を指導できる外部人材や社内の有力人材から、考え方ややり方の研修を受ける。あるいは、Eラーニングや支援ツールを導入する。研修内で話をきく体験をするのもよい。
・社内の成功事例を共有し参考にしてもらう。
・1on1がどのように機能していそうか効果測定をし、やり方の見直しなど改善できることを改善しPDCAを回していく。ただし、すぐに結果を求めず、中長期的な視点で見ることが必要。

「うまくいくかどうかは上司次第」といって、1on1を行うという方針だけ決めて後は各上司に丸投げというのでは、組織としては取り組み不足だと思います。


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