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企業の不祥事から真に学ぶべきこと ~マネジメントの原理原則~

知恵のバトン
2023.08.22

毎年のように企業の不祥事が湧き出てきます。その度に多くの議論や井戸端会議が行われていることと思います。皆様ご承知の通り、その度にその企業を叩いているだけでは、何の意味もありません。企業組織がダメになる本質を学び、基本と原則を確認し、未来をより良くするための行動に結び付けなければなりません。私見の範囲ですが、様々なメディア、報道で議論されている問題の分析は、的を射ているようでなかなか体系的には整理できていないような印象を持ちます。“組織風土が問題(トップダウンの弊害、心理的安全性の欠如など)”“カリスマリーダーの弊害”“利益至上主義”“高すぎる給与”“事業承継の難しさ”“社外取締役の機能不全(取締役会の機能不全)”などなど。報道はただ結果と事象を語り、ラーニングメディアではその原因はどこにあるか、その構造的欠陥と処方箋を専門家の意見を以って交換しています。

マネジメント(経営)の父、ドラッカー先生は次のように語ります。
「いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する」
出典:P.F.ドラッカー『マネジメント〔エッセンシャル版〕ー基本と原則』(ダイヤモンド社)

この基本と原則の最重要なことは何か。それは、あらゆる企業の共通目的であるはずの「顧客の創造」です。つまり、「お客さま第一の実践」です。そのためにあらゆる企業は「人を活かし、組織を通じて、企業の外に成果をあげる」ことです。成果とは“より良い変化”をお客さま、社会にもたらすことです。売り上げはその価値に対する支持率であり、利益はお客さまにとっての価値評価額なのです。

今回の某BM社の不正にまつわる『調査報告書』(特別調査委員会、2023年6月)を読むと、実際にある部門で不正に直接かかわった社員は104名いたとのこと。調査対象者382名の27.2%にあたる。さらにその内の61名(58.6%)は上司からの指示を理由としている。最後にこう結んでいる。
「毎年、全社員に配布されている当社の「経営計画書」の冒頭には、大方針として、「義を明らかにして、利を計らず。我々は、お客様との信頼関係を築いて収益の極大化を図る。」とされ、経営理念には、「常にお客様のニーズに合ったクオリティの高い商品、サービス、情報を提供する」と高らかに宜言されている。」とし、「当社は、顧客の満足を第一に考えるという原点に立ち返」り、そのために「悪しき慣行と完全に決別することでしか再生はないと覚悟するべきである」と。

マネジメントの役割は3つあります。
1,特有の使命を果たすこと
2,働く人を活かすこと
3,社会に自らが与える影響を処理するとともに、社会の課題解決に貢献すること
この3つに沿ってもし私がコンサルティングを任されたなら、当面の顧客離れによる財務規律の見直しは前提として、
1,理念(ミッション)、ビジョン、ウェイ(行動規範)を自ら正すこと
2,必ず車が好きで働いている社員、お客さまや働く仲間に喜んでもらいたい、そう願って仕事をしている社員もいるはずである。そのことに真っすぐ、真摯に取り組める環境づくりと、正しい考え方、原理原則の教育の充実
3,社会に為した害悪を除去するとともに、社会への貢献を明らかにすること
以上を経営幹部を先頭に立たせ全社員とともに中長期の取り組みを共にしたい。
JALを再生したときの稲盛和夫さんにも勝るとも劣らないほどの熱量と覚悟で取り組むほかはありません。それは、容易なことではありません。しかし、当たり前のことを馬鹿になって徹底しなければなりません。原理原則のレールに戻し、正しい考え方を北極星としてやり抜くしかありません。
企業の多くの失敗は、マネジメントの原理原則を知らないことにあります。或いは責任あるマネジメントを行う者が既に持っていなければならない“真摯さ(正しい考え方)の欠如”にあります。
実は多くの企業でマネジメントの本質を学ばないまま、マネジメントを単なる「管理」と誤って解釈して経営・マネジメントをしている状況があります。つまり、多くの場合、他人事ではないのです。


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