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オーバーツーリズム対策に観光税を積極的に導入すべき

時事トピック
2023.10.12

日本政府観光局(JNTO)が920日発表した8月の訪日外国人客数は2019年同月比85.6%2156900人(推計)となり、新型コロナウイルス拡大後初めてコロナ前の8割を超えました。最近では全国どこに行っても外国人が増えてきたなという実感があります。外国人だけでなく日本人の旅行も活発になってきており、日本経済にとってもプラスの効果が出ています。しかし、その一方でオーバーツーリズムの弊害が聞かれるようになってきました。

7月に富士山に登頂しましたが、最近ニュースでも取り上げられる弾丸登山をしている人を沢山見かけました。体力のある若者だけでなく、高齢者や小さな子供もヘッドランプを付けて夜通し歩いていました。1000人のベトナム人ツアーも弾丸登山を敢行しており、山小屋のスタッフもこの規模の弾丸登山は見たことがないと驚いていました。頂上についても3776mの剣ヶ峰は写真を撮るために長蛇の列ができており、そこだけで30分以上待つなど、異常な混み具合でした。下山後もタクシー乗り場で30分以上待ち、翌日以降も混みすぎていて予約は不可という状態でした。
8月に札幌に行った際も、かつて訪問したジンギスカン屋さんに行こうと思ったら、ここも長蛇の列で17時の時点で既に一時間待ちということだったので諦めざるを得ませんでした。出張でホテルの手配をする際もこの12年で3割程度価格が上がった感覚があります。
コロナ禍で観光業の雇用が失われ、その人員が戻ってきておらず以前より受け入れキャパが少なくなっているというのもありますが、急増した需要に対応できず住民の日常生活に支障をきたしている部分も多くなっていると感じます。

このようなオーバーツーリズムの弊害に対応するために、積極的に観光税を導入すべきだと思います。例えば富士山では現在入山料が1000円掛かりますが支払は任意です。混雑緩和と気軽に登頂する人を減らすために、支払いを義務化し金額も外国人1万円、日本人3000円のようにもっと高額にすべきだと思います。世界の山でもエベレストは入山に100万円以上かかりますし、キリマンジャロやアコンカグアなどは10万円ほど徴収されるそうです。日本に観光に来る外国人はアクティビティにお金を支払うのは当然だと考えている人も多く、一人1万円でもそれ程高いとは思われないでしょう。
現在、ハワイに宿泊する際は10.25%の宿泊税(オアフ島は更に3%上乗せ)が掛かりますし、インドネシアのバリ島も2024年から文化保護のため入島する観光客に対して15万ルピア(約1,390円)の税金を課すことを発表しました。日本でも宿泊税を課している地域はありますが、東京都でも一人当たり一泊宿泊費10,000円以上15,000円未満の場合は100円、15,000円以上の場合は200円と少額です。諸外国と比べて割安な観光税をもっと上げるべきだと思います。

このような観光税を課すことで、オーバーツーリズムの弊害を抑えるとともに、環境保全・文化保全、地域のインフラ整備を進める必要があるのはないでしょうか。


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