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奇跡を求めて祈り、成果を求めて働きなさい

今週の「言葉」
2023.11.16

この言葉は、聖アウグスティヌスの言葉です。
“One prays for miracles but works for results.”が原文となります。

ドラッカーが著書「非営利組織の経営」の中で、この言葉を引用しています。

祈りは、こうありたいと望むこと。でも、それだけでは何も起こりません。行動し、実行することで成果にたどり着きます。そのことを踏まえて、ドラッカーは、「ミッションや計画は善意にすぎない。戦略が山を動かす」としています。

そして、こんな言葉が続いていきます。

かつて私は、戦略という言葉を使うことを反対された。軍事の匂いが強すぎるといわれた。だが、私の考えは変わった。計画が知的な遊びに終わっていることが多いことに気づいた。計画をきれいに綴じて棚においている。それだけで素晴らしいことを行なった気になっている。たしかに計画はつくった。しかし、実際に行なわないかぎり、何も行なったことにはならない。
-「非営利組織の経営」P.F.ドラッカー

これは、少々耳が痛い方もいるかもしれないですね。経営計画を作り上げ、発表したものの、それで満足してしまう。その時は、盛り上がるものの実行に移されない。時々見かけてしまう光景です。

昨日までのことを続ける慣性が働いている以上、願いや祈りだけでは、行動は変わりようがありません。何をやめるか、何をはじめるか、明確にする必要があります。そうした明確な戦略がないまま、ミッションや重要施策を掲げるだけで終わってしまうことがあまりにも多いように思います。

なぜそのようなことが起きやすいのでしょうか。
私の仮説は、ミッションや計画、目標や戦略という言葉への解像度が低いためではないかというものです。

例えば、「目標は頂上のようなもの、そこへの登り方は無数にある。だから、戦略を持つことが大切だ」のように言われます。この「登り方」といったときにルートだけがイメージされると解像度が低いです。そもそも道ができているとは限らないのに、あたかもルートを選択することが戦略だと思ってしまっているのです。

ドラッカーは、「戦略はブルドーザーだ」とも言っています。正直、最初は、あまりピンときませんでした。でも、咀嚼しているうちに、道なきところに道を拓くことで、他社とは違う独自の貢献ができるということだと理解しました。

ただ祈るだけではなく、成果を求めて「働く」わけです。ただいつもの作業をするのではなく、今までと違った工夫をして、違う時間の使い方をして、これまでとは異なる人たちと協力していくことが求められるのです。

そうした行動は、正しく「戦略」の意味を捉えてなければ、出てこないでしょう。一方で、「こうありたい」と願う祈りもなければ、道を拓こうとは思いません。

日本の格言で言うならば、「人事を尽くして天命を待つ」に近いかもしれません。この言葉も様々に使われますが、「これだけやったんだから、仕方ない」のような使い方では、戦略がありません。祈りながら、つねに可能性を求め、工夫しつづける。そうした営みによって、成果が得られるだけでなく、成長もしていくのだと思います。


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