二極化する日本経済 | コンサルタントコラム | 中堅・中小企業向け経営コンサルティングの小宮コンサルタンツ
loginKC会員専用お問い合わせ

コンサルタントコラム

ホームchevron_rightコンサルタントコラムchevron_right二極化する日本経済

二極化する日本経済

時事トピック
2024.02.16

214日、215日の日経新聞から日本の経済構造の二極化を考えてみたいと思います。

  1. 「日経平均、史上最高値視野に」(214日1面): この記事は大手企業が利益を上げている状況を示しています。しかし、これは中小企業が直面している厳しい経営環境とは対照的です。
  2. 「中堅企業を税優遇」(214日1面): この記事は中小企業が経済全体の安定化に貢献する中堅企業として認識され、税制上の優遇措置を受けることを示しています。このような政策は、中小企業の成長を支援し、経済の多様性と競争力を保つための一環と考えられます。
  3. 「上場地銀、与信費用3割増」(2158面): この記事は中小企業への貸付における貸倒れリスクが増加していることを示唆しています。これは中小企業が直面する経営環境の厳しさを反映しています。

日経新聞の記事は、日本の経済構造が二極化していることを示唆しています。大企業は海外での稼ぎを増やし、賃上げについて物価上昇率を超える4%から5%程度を想定しています。一方で中小企業にそのような体力はありません。また、中小企業の労働分配率は大企業の4050%に対して70%と高く、人材採用難や人件費の高騰、さらには円安の影響による輸入原料や原油などの価格上昇などにより、経営は一層厳しさを増しています。

しかし、これらの困難に対して、ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば、中小企業が特有の使命を果たし、働く人を生かすことができれば、それは社会において明らかに存在意義があるということです。

企業が特有の使命を果たすということは、その企業の商品やサービスが顧客に選ばれるということを意味しています。当たり前ですが、すべての顧客に選ばれることなどはできません。特定の地域の顧客や特定のお客様などにとって特有の存在になれば、顧客に選ばれる(=売上が上がる)わけです。

とはいえ、選ばれるだけでは売上が上がるだけで、利益が出るかはわかりません。顧客に選ばれる価格でしっかりと利益が出るかどうかが企業存続の最低条件になります。

利益が出るためには、①より高い価格で選ばれる(付加価値を上げる)、または②コストを下げる、ことが必要です。

「①より高い価格で選ばれる」については、商品サービスの付加価値を上げることが必要で、また、より高い価値を認めてくれる顧客を見出す必要があります。

「②コストを下げる」については、円安も影響したインフレと人手不足に伴う人件費高騰によって、特に国内を基盤としている中小企業にとっては逆風です。

現状と同じ規模感で、それが難しいということであれば、中堅企業にステップアップをしていくという方向性もあるでしょう。国も政策として、支援しようとしていることが上記2の記事に示されています。

また、どこで事業を行うか、誰を顧客とするかという観点も重要です。資源が限られている中小企業が海外進出を実現することはハードルは低くはありませんが、国内で事業を行っていても、海外の顧客に向けた商品・サービスの展開をすることは可能です。

このような環境の中で経営を行っていくことは簡単なことではありませんが、世の中が二極化の流れにそのまま流されてしまうことは日本のためにも良いこととは言えません。なんとか向き合ってまいりましょう。


お問い合わせCONTACT US

コンサルティング、セミナー、KC会員についてなど、
お気軽にご相談ください。