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小宮一慶のモノの見方・考え方
2026.09.18

先週初めに富士市の顧問先さんを訪問し、定例の幹部向けの講演を行いました。2時間の講演を終え、予定通り新富士駅から大阪に移動するためにこだまにひと駅だけ乗り、静岡駅で20分ほど待って岡山行きのひかりに乗り換えました。この顧問先さんには2カ月に一度、もう25年ほど通っていますから、その後大阪に行くことも多く、静岡での乗り換えも普段どおりでした。

静岡から乗ったひかりは順調に走っていましたが、米原駅を過ぎたあたりで「姫路付近で大雨のため、この列車は京都駅で運行を取りやめます」というアナウンスがありました。新大阪以西に向かう列車はすべて京都駅で運行中止ということだったのです。私はこれまで3000回ほどは新幹線に乗っていると思います。地震や雨で途中で結構な時間停車する、そもそも運行が最初から取りやめになるなどは経験していますが、途中駅で運行中止というのは初めてです。

しかし、京都まで行けば在来線に乗り換えられる、はたまた車掌さんのアナウンスからは、新大阪止まりの新幹線は運行するのではないかと考えました。

私が乗ったひかりは19時40分頃、ほぼ定刻通りに京都駅に到着しましたが、運行中止というアナウンスが再度車内で流れ、多くの乗客は京都駅で降りました。「一時運休」というアナウンスでなく、運行中止という放送だったからです。

私も荷物を持ってホームに降り、向かい側のホームの案内板を見たら、次の列車は19時46分発の博多行きののぞみ、そして52分発に新大阪行きののぞみが表示されていたので、その新大阪行きののぞみに乗ろうと思いました。在来線もスマホで調べたら59分発の網干行きの新快速がありました。それなら最終目的地の大阪に行けます。私は50分くらいまでは新幹線ホームにいて、新大阪行きののぞみの運行状況を見てそののぞみに乗るか、新幹線に乗れなさそうなら59分発の在来線で大阪まで行こうと考えていました。

その時のことです。80歳くらいの女性とその娘さんと思しき60歳くらいの女性がホームで待つ私のところに来て、「どうしていいか分からないのでついていっていいですか」と話しかけてこられました。私と同じひかりに乗っておられたとのことです。私も最初は戸惑いましたが、「どちらまで行かれるのですか」と聞いたら、新神戸までだということです。

それならと私が考えているプランをお話しし、ご一緒しましょうということになりました。

19時50分頃になって、新幹線ホームの案内板で、次に来る予定の博多行きののぞみと、その後の新大阪行きはそれぞれ20分の遅延と表示されました。「それでは在来線で行きましょうか」と彼女たちに声をかけ歩き出そうとしたその時に、ホームにアナウンスが流れました。「20時運転再開見込み」というアナウンスです。

それなら、あと10分足らずなので在来線に乗り換える必要もないので、もとのひかりに戻りましょうということで、元の列車に戻り、元の席に着きました。彼女たちもそのようにされました。

ほどなく、ひかりは動き出し、定刻よりは20分以上遅れましたが、無事新大阪駅に着きました。

私が新大阪駅で降りようとしたときに、その女性たちが座っている席のそばを通ったので「お気をつけて」と声を掛けたら、年配のほうの女性が席から立ち上がり、「本当に有難うございました。心強かったです」とおっしゃって、私にLOOKのチョコレートを渡そうとされました。それをいただくほどのことをしたわけではないので、お断りしたのですが、無理やり私のジャケットの左ポケットに入れられました。そこまでされてお返しするのも悪いと思い、もう一度「お気をつけて」と言って私は新幹線を降りました。

結構ほのぼのとした気持ちになりましたが、自分にはそのLOOKのチョコレートが宝物のように感じられました。

 小宮 一慶


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