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AIで社長は採れない

知恵のバトン
2021.07.27

先日、友人主催のオンライン「人事の会」(企業の人事部門、専門家など、人事領域で活躍されている方との意見交換の会)に参加していたときのことです。採用の専門家が言われたことが印象に残りました。それは、「AIで社長は採れない」です。参加していたメンバー全員がうなずきました。

 

言うまでもなくAIの発達はめまぐるしいものがあり、書類選考・面接・適性検査など採用プロセスの一環としてもその活用が注目されてきています。中でも、書類選考では相性がよいと聞くことがあります。過去の合格者の特徴をAIに学習させ、応募者の書類をAIがチェックし、過去の合格者と共通する内容が多い書類を高く評価、応募者の絞り込みをするなどです。選考のすべてをAIが行なっている事例はまだ聞いたことがありませんが、部分的な活用は広がっていきそうな気配もします。

 

AI採用の最大のメリットは、判断にぶれがないことでしょう。「○○であること」と基準を設定すれば、その基準に当てはまっていれば通す、当てはまっていなければ通さない、という判断を、忠実に実行します。人であれば、判断に主観が入ったり、疲れによる判断ミスが起こったりしますが、AIにはそれらがありません。

 

しかし、「AIで社長は採れない」というわけです。

なんとなく、「さすがに社長はAIで選考できないでしょ」と感覚的には同意できると思いますが、その理由はなぜでしょうか。このことは、人材育成や採用について考える上で、けっこう本質的な部分に踏み込む話になると思います。それは、(AIに読み込ませるべき)「基準が設定できないから」ではないでしょうか。

 

社長の仕事に、決まった形はありません。その会社が提供すべき商品・サービスの付加価値を最大化させ、お客さま・社会に貢献し、従業員を幸せにし、なおかつ高収益を実現させていく陣頭指揮が務めです。そのためにやるべきことに優先順位をつけ、具体的に何をすることに1日の時間を使うのかをすべて自らが決めることになります。

 

これまでの勝ちパターンがこれから先も通用するわけではありません。これから先の社内外を取り巻く環境変化を予測し、自社が何をするべきかを新たに意思決定していきます。そこには何のルールもなく、非定型業務の塊と言えます。加えて、経営者としての覚悟や熱量、品格なども問われてきます。

 

上記の通り、AI採用は、AIにとっての判定の基準があることが前提になります。その基準は人が作らなければなりません。「○○の業務は、こういう資格を持っていて、こういう経歴があって、こんな行動特性を持っている人が成功しやすい」という過去の勝ちパターンが明確化しやすく、かつそれが今後も続く仕事であるほど、判定の基準が作りやすくなるはずです。つまりは、「定型業務」であればあるほど、AI採用と相性がよいというわけです。経営の仕事(非定型業務の極み)を担う社長の採否を判定はできないのは、当然のことと言えます。

 

しかも、人の介在がほとんど必要ない定型業務を極めた作業工程になれば、AI採用からさらに先まで進んで、AI自体で作業を完結させることが可能になるかもしれません。

以上のことを一般化させてまとめると、次のようになると思います。

 

「やるべきこと・やり方が決まっていない非定型業務を担う思考力・実行力が高い人材ほど、これから先も求められ続ける」

改めてこのように感じました。

 

<まとめ>

非定型業務の連続がその役割である社長は、AI採用できない


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