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推薦図書 :「現代語訳 論語と算盤」(渋沢栄一 守屋淳訳) 

経営のヒント
2021.09.15

作者の渋沢栄一については、最近は一万円札の顔となったり、
大河ドラマ「青天を衝く」の主人公となったりしていることもあり、最近関心が高まっている歴史的人物です。
幕末から明治、大正、昭和という激動の時代において、日本の実業界をリードし、
設立に関わった会社は四百八十一社とされ(東京商工会議所調べ)、それ以外に五百以上の慈善事業にも関わり、後世、「日本資本主義の父」、「実業界の父」とまで呼ばれました。

本書は、渋沢が実業界に入り、実業を進めるにあたり心の拠り所とした「論語」をもとに、
実業(今風にいうとビジネス)に関わる者としての心の在り方やや生き方について説いているものです。

時代背景としては、国として富国強兵を目指す中、道徳と実業の両立が求められていたことがあると思います。

 

渋沢栄一も本書の中で次のように書いています。
「わたしは、常に「士魂商才」-武士の精神と、商人の才覚をあわせ持つ、ということを提唱している。(中略)「士魂」を、書物を使って養うという場合いろいろな本があるが、やはり「論語」がもっとも「士魂」養成の根底になるものだと思う。
(中略)不道徳やうそ、外面ばかりで中身のない「商才」など、決して本当の「商才」ではない。」
明治維新以降、「論語」の考え方等の道徳観念が実業に定着したことが、日本人の勤勉性や製品の高い品質に繋がり、結果として経済大国と成長していったのではないかと思います。

 

本書の中身ですが、「第1章処世と信条」から「第10章成敗と運命」の10章で構成されています。
昔の本というと、とかく難しいのではないかと思われるでしょうが、本書を訳された守屋淳さんの名訳もあり、非常に読みやすい一冊となっています。読みやすさを体感して頂く為、「第2章立志と学問」における「自ら箸をとれ」の中の一節を抜粋いたします。

「こうして人材登用のお膳立てをして、われわれは待っているのだが、この用意を食べるかどうかは箸を取る人の気持ち次第でしかない。
ご馳走の献立をつくったうえに、それを口に運んでやるほど先輩や世の中はヒマではないのだ。(中略)「何かひとつ仕事をしてやろう」とする者は、自分で箸を取らなければダメなのだ。」

 

いかがでしょうか。現代の本と同様に読みやすくないでしょうか。私は本書を読んでいると、渋沢栄一の肉声が聞こえてくるような気持ちにさえなりました。
ぜひ皆さんも本書を手に取って頂き、渋沢栄一が説いた考え方、肉声に接して頂ければと思います。


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