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今週の経済の動きと経営の切り口 ~衆議院選挙と日本の置かれている状況~

経営のお役立ち情報
2021.10.21

「今週の経済の動き」については、「今週の日経新聞の数字トピック30!」と合わせてお読み頂くことで、より理解が深まる構成になっております。「数字トピック30」に記載している数字に関しては、※( )で番号を記載しておりますので、ぜひ参照下さいませ。

 

10月19日に衆議院選挙が公示されました。
立候補者も出揃い、今後の日本の行く末を占う衆議院選挙が行われます。

今までの今週の経済の動きでも記載していましたが改めて今日本がどのような状況にあるのかと言うことを簡単に整理してみました。
このような状況の中で、政策を決めて動いていく必要があると言うことです。

 

【世界経済の概要】

世界的に見ると米国、中国、欧州を中心にコロナ禍からの回復傾向にあります。当初の予定よりもデルタ株の影響などで伸び悩んではいますが2021年は世界経済は5.9%、米国経済は6%、そして中国経済は4.9%の成長率の見通しとなっています。※(2)、(3)

懸念されているのは、大規模な金融政策によるコロナ禍からの回復と特定の供給制限によってインフレ傾向が加速していることです。とは言え、回復局面においてインフレ傾向になる事は自然な流れであり、その程度感と持続性の問題であるといえます。また、この部分に関しては欧米や中国に関しては適切な金融緩和政策の縮小がなされる流れとなってきています。

 

この中で、中国については中国恒大問題などいびつな部分があり注視が必要な状況になっています。中国の不動産については、多少のインフレどころの話ではなく実質的にはバブルなのではないかと言う懸念も出ています。一方で、今週出された中国のGDP予測は4.9%成長と伸び悩んでいます。※(3)
中国に関してはこのようにバブルの懸念と、景気そのものの減速が顕著に現れつつある状況で警戒が必要な状況にあります。

 

ワクチン接種の進行とデルタ株の状況によっては、今後もコロナの動向が不明確である点も挙げられます。

資本主義である米国や欧州などと共産主義である中国、いずれについてもコロナ禍を経て2極化が進んでいる状況があり、資本主義であればそれをデジタル課税や法人税の最低税率の引き上げ、そして共産主義である中国については共同富裕政策によって2極化を緩和させようとしている状況です。

 

【日本の置かれている状況】

このような状況の中で、衆議院選挙が行われる日本はどのような状況でしょうか。

まず第一に、コロナ対策の遅れも一因ではありますが日本は米国、中国、欧州などの他の国と比べると需要の回復が圧倒的に遅いと言う特徴があります。
需給ギャップがマイナス22兆円と、GDPの3.9%に上る生産余剰(需要不足)の状況になっています。※(5)

この状況は、消費者物価指数の伸び悩みが、悪い円安によって輸入物価指数の上昇とコストプッシュインフレを起こしている状況の中においても継続している事に現れています。※(1)

輸入品の調達や、企業物価指数が高かったとしても、消費者の購買意欲が低いためそれを価格に転嫁できないと言う状況が想定されます。

また、原油相場高に伴い、レギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)も1リットル164.6円と約7年ぶりの高値をつけ、家計へも影響が出始めています。※(11)

 

これは、4.9%の経済成長予測が出された中国においても同様の傾向といえます。企業物価指数、卸売物価指数が消費者物価指数と連動していないと言う傾向です。※(10)

複合的な要因がありますが、日本の需要不足はなぜ生まれているのか。この部分についてのアプローチの違いが政策を大きく左右することになるでしょう。

 

岸田政権としては、分配を優先させながら成長を起こし分配と成長の好循環によって経済を成長させようとしています。
一方で、改革については特段の言及がなされておらず、日本の需要不足の根本的な原因と思われる将来不安、具体的には社会保障、年金、医療の問題についての具体的な切り込みも見えてきません。
現在の日本はGDP比で266%の債務を抱えている状況であり、他の国と比較をしても財政的に健全であるとは言い難い状況であるといえます。※(6)

一方で、だからといって単純に社会保障を削減するだけでは国民の不安は解消されず、さらに需要不足を生み出すことでしょう。

今の日本の根本的な問題は、生産性が上がっていないこと、GDPの成長が見られないことにあります。GDPが成長していないと言う事は、労働分配率が一定であれば人件費も上がっていないと言うことになります。事実その通りとなっています。
この生産性の改善に着手しなければ、どれだけ分配をしたところで成長が実現される事はないでしょう。

そして、生産性を改善するための投資に関しては財政出動により実施することも難しいと言わざるを得ないでしょう。なぜならば財政出動による投資があまり行われない状況にあったとしても、現在の財政状態は年々悪くなっているためです。
将来の生産性改善のための投資を行っていく必要があるのですが、それを財政出動なく行うと言う事は不可能と言わざるを得ません。しかし、同じ財政の状態を崩して行う投資なのであればそれは生産性の改善につながらない分配ではなく、将来の生産性を上げるための投資に向かう必要があるのです。

 

もちろんコロナ禍で打撃を受けた特定の業種に勤める方々への経済的補填は必須です。今週の記事でも、45万店ほどある飲食店のうち1割程度の飲食店が減少したと言う記事が出ていました。※(7)

飲食宿泊サービス業や、旅行、航空、鉄道など移動に関するサービスを提供している業者を中心に大きな打撃を受けています。
今後、この中からの回復後においても社会において重要な役割を果たしていただく方々です。このような方々への支援は必須でしょう。
しかしながらそれ以外の方に対しての分配をいくら強化しても現状よりも大きな生産性の改善にはつながりません。つまりGDPの中長期の向上には寄与しないと言うことです。

国の生産性向上のためには人材投資、研究開発投資、設備投資、などの生産性を上げるための投資が必要になります。

※(13)
このいずれにしても、日本は他国に対して劣っている状況と言わざるを得ないでしょう。

 

人材投資に関して言えば、今週の記事で博士号の取得者数が他の国の半分以下と言う記事もありました。※(28)

また設備投資に関して言えば半導体に対しての誘致活動も遅れており、TSMCが半導体工場を遅ればせながら作ると言うような状況。※(24) 研究開発投資に関しても、米国中国と比べると見劣りする状況となっています。

 

民主主義の日本において、票を集めるためには国民の支持が必要です。そして、その国民の支持を得やすい政策は今の分配を改善すると言う事が中心になってしまいがちです。
特に、ジリ貧傾向の野党については票を集めなければ対立軸を作ることができないと言う状況もあり今の分配の改善を中心に政策を組み立てるしかないのかもしれません。
しかしながら、今の分配を進めたところで、その分配が根本的な改善につながらないとすると、今の分配の中で苦しんでいる方々を支援する分配以外に関しては生産性を上げる投資に回さなければいけないのではないかと思うのです。

 

財務省の矢野氏が寄稿したバラマキ政策と言う批判も様々な意見はあれども部分的には理解できます。財政出動に伴わずに将来の生産性を上げると言う事はかなり無理があります。一方で、だからといって将来の生産性を上げるためにあまり関係のない分配を優先し将来の財政状態をさらに悪化させるわけにもいきません。
0か100かではなく、その中身をしっかりと見て将来的な生産性の向上と、将来的な生産性の向上が実現する財政状態の改善を実現していく道筋を探していく必要があります。
そして、今回の衆議院選挙で各党が示す公約がここにつながっているのか、この部分を着目していきたいと思います。


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