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今週の経済の動き ~18歳未満への10万円支給と本質的人材投資(岸田政権の政策を考える)~

経営のお役立ち情報
2021.11.12

「今週の経済の動き」については、「今週の日経新聞の数字トピック30!」と合わせてお読み頂くことで、より理解が深まる構成になっております。「数字トピック30」に記載している数字に関しては、※( )で番号を記載しておりますので、ぜひ参照下さいませ。

 

■18歳未満への10万円支給と本質的人材投資(岸田政権の政策を考える)

衆議院選挙を経て第二次岸田政権が発足し、岸田政権の経済対策が具体化されてきました。
18歳未満の方を対象に10万円を年収960万円未満の世帯に給付すると言う施策が決まりそうです。※(4)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※出典:日経新聞 11月11日(木) 3面

 

岸田政権の経済対策として、歳出規模30兆円の経済対策と言う事ですが、2千万人程度の18歳未満の方に10万円の支給となると、2兆円程度の支出と言うことになります。※(3)

マイナンバーカードの保有者に対するポイント付与等も含めてもこれらの給付に伴う支出額は5兆円に満たない程度と想定されます。

コロナにおいて影響受けた方への補填は非常に重要なことと思いますが、この支出によって日本の生産性そのものは改善しません。

 

もちろん、10万円の支給によって消費意欲を刺激する効果は期待できますが、給付金の消費性向は3割程度で残りが貯蓄に回ってしまうという以前の調査結果もあります。政策の根本的な効果を考える必要もありそうです。※(9)

「魚をあげるよりも、釣りの仕方を教えるアプローチ」が日本の経済政策には必要なように思います。

 

日本は雇用調整助成金によって失業を抑えており現在失業率は3%程度で推移しています。しかしながら潜在的な失業率としては6.9%程度あるとみられています。雇用調整助成金の支出は4.7兆円に上り、これは本質的には生産性の高い事業への人材のシフトを妨げている要因にもなっています。※(2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※出典:日経新聞 11月8日(月) 経済

 

 

スキルアップ投資やリスキリングなど、受け身ではなく働く人たちが主体的にレジリエンス志向を持ちながらワークシフトをしていく社会が生産性の高い社会と言えるでしょう。そうすることによって、今世の中で求められている事業に柔軟に人が主体的に移っていくことができる社会になるのです。一方で、同一の仕事を継続する場合には、その仕事自体が世の中から求められなくなったときに対応のしようがありません。

私たちも、これから何度かこのような働き方のシフトが求められるようになる可能性が高いです。また、経営者や経営陣の皆様にとっては従業員の方々にそのようなワークシフトをしていただく必要性が生じる可能性は高いと言えるでしょう。

雇用調整助成金はある程度の段階では必要なのですが、中長期的な目線で見たときにいつまでも雇用調整助成金を出し続けるわけにもいかないでしょう。これからのノーマルを見据えたときに人の流れが100%戻るわけでもなく、一時的な影響なのか永続的な影響なのかと言うことを見極めながら日本自体の生産性を高める分野に対して投資をシフトさせていくことが求められる段階にあると考えられます。

 

皆様の周りでも、現段階においても雇用調整助成金を受給しながら事業展開を図られている苦境の会社様もいらっしゃると思います。一方で、その支給が永続的に続くわけではありません。逆に言うと永続的に続かなければ継続できない事業は、コロナ後の社会で生きていくために変革が必要なのです。

生産性を高めるためには、人材投資、研究開発投資、設備投資等の生産性投資が必要です。
泳いでいる魚の種類が変われば、それに合わせて釣り方を変える人材の能力、必要な釣り具や、魚の研究・餌の研究などが必要になるということです。

それが本質的に変化を前提としている社会において生産性を維持・向上するために必要なことです。

 

これは国家も、企業も本質的には変わりません。そのため、国を企業に置き換えた場合に、今行っている事は既に持っている内部留保や、借り入れによる調達したお金を従業員さんにばらまいているに等しいといえます。悪いことではないのですが、企業の商品サービスをよりよくして、付加価値を生みだし、従業員さんへ労働分配をするという本来の事業の流れを作っていかなければ財源なき分配にしかなりません

 

大学ファンド10兆円については、研究者の支援と研究開発投資と言うことで日本の生産性改善に生かせる戦略投資であると考えられます。※(5)
10兆円を教育に投資するような雰囲気に見えますが、内容としては10兆円を株式と債券で運用し、年4%程度の運用益を教育・研究開発に充てるという施策です。
研究開発に関しては、特に基礎研究は生産性や成功確率などで計れない部分がある(基礎研究の成果を商品化や実用化に向けて行う応用研究とは違う性質であるため)ため、しっかりとコストをかけてトライ&エラーを推進していく必要があります。

 

ノーベル賞につながるような研究開発については、基本的には基礎研究によって実現されることになるため、ファンド運用益からも資金を捻出し、そのような海のものとも山のものともわからないが非常に価値のある投資に振り向けると言う事は国家戦略としては適切であろうと考えます。そのような観点から考えてもアメリカは大学においてファンドが機能し、投資によって人材が育成されて発展してきた国家です。そのアメリカを追随する形で大学にファンド資金が投入されることに関しては非常に有効なのではないかと考えられます。

研究開発や人材投資と言う意味において、大学ファンド10兆円については、期待したいところです。ハーバード大学やイエール大学等の資金は4兆円から3兆円程度と高いです。これに対して、日本は1番高い慶応大学でも1000億円に行かない水準でしかありません

 

新規事業や、新商品開発についても言えることですが、うまくいくかわからないことに対して資金を投資するためには、その目的にあった資金を活用する必要があります。創業間もないベンチャー企業には、元本回収が前提の金融機関の融資はそぐわないのと似たようなものです。ベンチャーキャピタルなどそもそもリスクを織り込んだハイリスクハイリターンの期待値を持つ資金を振り向けることで、資金の使途が目的に合致するのです。

日本の国家運営においても、民間の経営の基本的な考え方が活かされています。

 

 

 

■上場による経営の複雑性と企業価値

 

今週は企業の価値について考えさせられるトピックがありました。東芝が事業ごとに3社に分割される可能性があると言うことです。2年後をめどに3社に分割し各社が上場すると言う流れを作ると言うことです。

 

東芝は連結で見ると200社以上のグループ会社に分かれており、コングロマリットディスカウントと言う複合したときにそれぞれの企業価値の合計よりも下がって評価されてしまうというデメリットを解消する目的があります

 

相互に関連性の低い複数の事業を同一企業体で営むことは、関連性の低い複数の事業を一体として「会社の方向付け」「資源の最適配分」「人を動かす」という経営の仕事をする上で効率が悪いと市場で判断されているということかもしれません。関連性の高い企業体に分割をすることによって効率的な経営ができるという期待があります。コングロマリットディスカウントは投資家というステークホルダーからのメッセージとも受け取れるため、それを受けて経営規模の最適化を図ることは適切な市場ガバナンスが発揮されていると考えることもできるでしょう。

 

日本全体としては、99%の数を占める中小企業・中堅企業や昨今のコロナ禍における対応能力が問われている医療機関は後継者不足という事情もありM&Aによる集約が進んでいく方向にありますが、実は分割をすることによって生産性が上がる組織も存在するということでしょう。

 

このコングロマリットディスカウントはソフトバンクグループの株価でも同様のことが起きており、投資会社として保有しているアリババを含めてその他の会社の株価を合算するとソフトバンクグループの時価総額をはるかに超える状況となっています。しかし、それも含めて投資家としての評価ではあるため、そこになにがしかのロジックがあると言うことです。しかしながら、その価格に納得ができないと言うことであれば上場廃止をするのも1つの手段と言うことです。

 

ソフトバンクグループは、市場の評価が安すぎると言うことを自社株買いの公表を通じてアピールしています。市場の評価が安すぎるのであれば非上場化すれば良い、または自社株を割安と判断している価格で買えば良いと言うことになります。

なお、ソフトバンクグループの投資ポートフォリオの中で中国の投資先企業の構成比が高く、中国政府のIT企業への規制の強化が不透明感として高まってきていると言えるでしょう。2021年7月から9月期の連結決算は最終損益が4000億円弱の赤字と言う事です。※(29)

 

すでに投資会社となっているため、保有する株式の評価の増減によって業績が左右されるため通常の企業の黒字・赤字とは違った認識(業績というよりは保有株式等の評価損益の動きの集計)を持っておく必要があるでしょう。

 

関西スーパーマーケットのH2Oリテイリングによる株式交換契約については、オーケーが差し止め仮処分を申請する事態となりました。これは、会社法における特別決議の有効性の判断となります。
一部の棄権票とみなされた議決権が、会場で賛成票とする変更が行われたということです。一人の株主が総会前日までに賛成の議決権を送付しており、当日はそれが有効だと考えて会場では白票を投じたと言うことです。総会の実務上は株主が来場した場合、当日の投票が優先されると言うことです。

 

関西スーパーは当日のその株主の投票行動自体が間違いだったとして、事前の意思表示どおりに賛成にしたと言うことです。
当該株主の意思、総会の実務と会社法における解釈の問題があり司法に判断が委ねられることになります。

オーナー会社であれば、100%オーナーでコントロールできるのですが、上場会社は一定割合の株数を市場に売り出す必要があり、特別決議(発行済株式総数の過半数を保有する株主が出席し、その議決権の2/3以上の賛成が必要となる決議)を得るのも一苦労です
上場することで多数の株主と言うステークホルダーが生まれます。また、市場での取引を通じて自らの意思と反した評価がなされることも当然にして起こりえます。その分経営が複雑になってくると言う事でもあります。

 

また、東証プライム市場に上場する会社は気候関連財務情報開示タスクフォースによるTCFDの気候リスクの開示が求められるようになります。このように、株式市場における選別においても環境問題が切実に影響してくるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※出典:日経新聞 11月10日(水) 金融経済

 

コロナ禍の影響で、外食産業が軒並み打撃を受けている中でトリドールホールディングスは、国際会計基準上の事業益が40億と言うことで「丸亀うどん弁当」が好調で約1300万食売れたと言うことです。※(30)

株価も上場来高値圏内を維持していると言うことです。外食産業は、軒並み頃中で株価を下げていますが上場来高値の水準を維持すると言う事は、コロナ禍とコロナ後における新たな事業環境に適応したと市場が判断していると考えることもできるでしょう。

 

このように、コロナ禍の逆風に耐えてイノベーションを起こす企業もいます。(イノベーションと言うには少し大げさかもしれませんが)
ゼンショーホールディングスも他と比べると株価は堅調な水準にあります。テイクアウトや海外展開も含めてバランスよく経営をしている企業は市場からの評価も高くなります。コングロマリットディスカウントのようなネガティブなこともありますが、市場は概ね適正に企業を評価していると考えることもできるでしょう。

 

米国では、富裕層への増税論が勢いを増す中でテスラのイーロンマスク氏が保有する株式の10%を売却して納税するべきかTwitter上で投票したところ株の放出が懸念されテスラ株は1時7%安まで下げたといったこともあります。イーロンマスク氏は総資産が35兆円近くにまで膨れ上がっており年初来の増加率は99%と言うことです。

 

スケールは違いますが、このように市場とのダイナミックな対話をすると言う新しい試みもあります。以前にもマスク氏はビットコインについてもその価値の是非を問う発言で相場に大きな影響与えました。
いずれにしても、テスラはEVと言うこれからの時代を牽引する事業であり、その事業を先見の明を持ち構築し現在の規模感まで持ってきたところにマスク氏の経営者としての手腕があるのでしょう。

 

 

 

■世界経済、政治の動きについて

 

今週も物価上昇や供給不足によって経済の伸び悩み、先行き不安がぬぐえない状況となっています。

中国では6中全会が行われました。中央委員会第6回全体会議の略称です。

 

この会議で歴史決議が行われ、習近平氏が毛沢東氏と並ぶ権威を確立がなされました。中国における景気は減速傾向にあり、外交についても戦狼外交や一帯一路における債務のわな問題なども含めてあまりうまくいっていない状況です。それらを踏まえて今後の政権運営がますます厳しくなるような状況の中で自身の地位を固めておくことを意識した会合になったと言えるでしょう。

 

鄧小平氏の改革開放色(先富論:豊かになれるものから先に豊かになる)を薄めて「共同富裕(格差是正 貧富の格差を是正し、すべての人が豊になることを目指す)」、「社会主義現代化国家」の全面建設を掲げました
現在の社会主義国家は、世界では中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバの五か国のみです。中国の採択により、あらためて資本主義と社会主義の対立構造となるのでしょうか。ベトナムについては、TPPに加盟しているため社会主義国家としての色彩を弱めているようにも見えます。

 

習近平氏が総書記となった9年間で中国のGDPは1.7倍となり、米国の7割の規模に成長しました。※(14)

一方で経済格差は埋まっておらず、ジニ係数で示すと0.475程度であった9年前に対してほぼ同水準の水準となっています。この地に係数は0.5以上になると経済的な格差が激しいとされる指標であり、その分岐点に近い程度の経済的な格差となっています。ちなみにジニ係数で言えば日本は0.3程度です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※出典:日経新聞 11月10日(水) 国際

 

全体としては経済成長が実現した中でも、格差は縮まっておらずそのような状況の中で選挙で国民から選ばれると言う正当性がない中国共産党が求心力を得るために共同富裕と言う考え方を提示します。ただ、この中で塾の規制など家庭問題への介入や寄付を実質的に強要するような進め方に対しての反発が出ていると言う事実もあるようで、外からはうかがい知れない状況となっています。
また、中国でも卸売物価指数が13.5%上昇し、資源高の影響を大幅に受けています。業種別で見ると石炭が前年同月の2倍と伸び率が最大であったと言うことです。石油や天然ガスも6割上昇しています。※(10)

 

このような物価上昇は、先ほども言及した格差のある社会には厳しい状況であり、企業は消費者物価にその価格上昇を転嫁できないため企業収益が圧迫される懸念があります。このことに関しては日本と共通点があると言えるでしょう。

中国は、この物価の上昇を輸出額への価格転嫁で支える流れをとっています。そのため国内における消費者物価指数の上昇はそれほどでもないのですが、中国から海外に輸出される物品の価格が上がっていると言うことです。輸出は前年同月比で27.1 %増の34兆円でしたが、数量ベースで見ると伸び悩んでいます。と言う事は、27%近くの上昇は輸出額の値上げによって調達物価がシフトしていると考えるのが妥当かもしれません。

 

米国においても、日本と同様に半導体不足がGDPに与える影響が大きく、日本以上に物価上昇による影響が経済に出ているような状況です。

米国では旺盛な需要が供給を大幅に超過していることにより、10月の消費者物価の上昇率は前年同月比6.2%と31年ぶりに6%台に達しています。さらに、物流の停滞によってサプライチェーンが滞っていることなどもそれに拍車をかけている状況です。製造業におけるサプライヤー納期指数も標準である50から現在は15程度まで下がっており、全体的に納期遅れの件をされている状況です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※出典 日経新聞 11月10日(水) 1面

 

また、米労働省が発表した10月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数の増加幅は53万1000人と、9月の31万2000人から拡大しています。市場予測(40万人程度)を上回っているのものの、仕事を探している人も含めた労働参加率が高まらず、10月は61.6%と9月から横ばいという状況です。※(7)

新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴う需要の伸びに働き手の増加が追いつかず、深刻な人手不足が続いていると言えます。

 

米国においては1兆ドルのインフラ法案が成立する予定ですインフラ法案は5年間で総額1兆ドル規模の投資を実現する見込みで、民主党の中でもコンセンサスが取りづらい状況であったため規模を縮小して成立させることとなりそうです。※(15)

 

子育て支援などに10年で1.7 5兆ドルを投じる歳出歳入法案はまだ採決を先送りにしてる状況です。GDPの規模が日本とは違うとは言え、投資の規模感もインパクトがあります。

 

また昨今ではなかなか話題に上がらなくなっているアフガニスタンの情勢もやはり芳しくなく、タリバン暫定政権を国際社会が認めず支援が滞っているため、国内においては病気や飢えが発生していると言う記事もあります。11歳の少女が体重が13キロしかないような状況もあるようです。
香港の報道の自由を含めて、その変化があったときには取り沙汰されるのですが時間の経過とともに風化し、それがいつの間にか当たり前になってしまう怖さを感じます。

 


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