推薦図書 『日本人が知らない満州国の真実 封印された歴史と日本の貢献』(宮脇淳子/扶桑社新書) | コンサルタントコラム | 中堅・中小企業向け経営コンサルティングの小宮コンサルタンツ
loginKC会員専用お問い合わせ

コンサルタントコラム

ホームchevron_rightコンサルタントコラムchevron_right推薦図書 『日本人が知らない満州国の真実 封印された歴史と日本の貢献』(宮脇淳子/扶桑社新書)

推薦図書 『日本人が知らない満州国の真実 封印された歴史と日本の貢献』(宮脇淳子/扶桑社新書)

経営のヒント
2021.12.10

今週の推薦図書は信頼できる歴史家の一人、宮脇淳子氏の『日本人が知らない満州国の真実 封印された歴史と日本の貢献』(扶桑社新書)です。

古典ではない本書をなぜ今週の推薦図書に選定したのか。それは今週12月8日という日に起因しています。

新聞等でも論考が掲載されていましたが(日本経済新聞12月9日朝刊「真珠湾攻撃80年、いま学ぶこと」、産経新聞12月7日東京版朝刊)「「大東亜戦争」と呼ぼう」、同12月8日朝刊一面「真珠湾攻撃80年」など)、しかし、現代に生きる我々の、特に若年層の方々はこの史実を知りません。

最近では米国と戦争をしていたことすら知らないという国民も出て来ています。実際に今週、とある100年の歴史ある企業様の若手に向けた研修がちょうど12月8日でしたが、「今日は何の日?」と80年前の今日というヒントも差し上げたのですが、30人ほどの受講生の皆さん誰一人知りませんでした。

これは我が国の教育がどうのこうのと他因に求めるのではなく、現役先輩世代の私たちの責任だな、と感じましたので、改めて先人および自国・世界の歴史と陸続きで生きている私たちが、教養として以前に歴史を学ぶとはどういうことなのかを改めて考える良書として本書を推薦します。

 

因みに、12月8日に始まる対英米戦、歴史の正確な名称では大東亜戦争(戦後GHQにより教科書では「太平洋戦争」)を理解するためには、19世紀の世界史もざっくり知る必要がありますが、そんなに学ぶ時間がない、という方は1931年(昭和6年)に起こった満州事変から学ぶとよいでしょう。

本書はその舞台、かつて日本が開拓した「満州国」について扱ってはいます。但し、何と言っても白眉なのが本書の「はじめに(少し長い前書き)…私たちは、なぜ歴史を学ぶのか」です。この“少し長い前書き”だけでも「歴史って何?」「歴史を学ぶってどういうこと?」の問いに答えてくれるのではないでしょうか。

 

【こんな人におススメ】
・歴史が苦手、だけど学ぶ必要性を感じている方
・現在の東アジアの情勢を深く理解したい方
・日本人がなぜ自虐史観に陥ったのかを知りたい方
・歴史と未来をつなぐ思考法を深めたい方
・日本でリーダーが育ちにくくなった背景を知りたい方
など幅広い方々に歴史に親しむ見方・考え方を理解する一助として頂きたい書です。

 

【本書の概略】
著者の宮脇淳子氏は東アジア(主に中国・朝鮮半島)ウォッチャーの方々には著名な人物でしょう。東洋史、特にモンゴルをはじめとして中央アジアや朝鮮半島の歴史の大家です。私が冒頭“信頼できる”と書いたのは、元歴史学者の端くれとして司馬遼太郎氏のような作家ではなく、歴史との向き合い方に誠実さを感じるからです。偏った思想や主義に影響されずに史実を丹念につなげていく姿勢がまさに歴史学者の在り方として信頼できます。この辺りは本書の前書きで読者自身が自由に感じ取って頂ければと思います。
以下、本書の“少し長い”前書きの各節題名をお示しします。

 

◆はじめに(少し長い前書き)……私たちは、なぜ歴史を学ぶのか―
・マルクス主義の進歩史観は空想
・人間はお金だけでは行動しない
・結果がすべての中国の歴史観
・「春秋の筆法」の本当の意味
・日本人の歴史感覚
・劣化は明治以降の教育のせい
・日本の自虐史観はロシア革命が起点
・なぜ歴史を学ぶのか
・日本人と中国人の歴史観のギャップ
・真実の朝鮮史
・台湾と朝鮮と満洲は日本史として考えるべき
・日本側から見た満洲
・陰謀はあったのか

 

歴史を学ぶとは個人的には古典を学ぶことと同じくらい、私たちの未来に強いエネルギーをもたらし、ゆえに影響を与えるものと考えています。歴史を真学ぶことについて、20世紀最大の歴史家、R.トインビー博士の言葉“滅亡する民族の3つの共通点”を引用し本文を閉じます。
①自国の歴史を忘れた民族は滅びる
②すべての価値を物やお金に置き換え、心の価値を見失った民族は滅びる
③理想を失った民族は滅びる

 

何れも企業の経営、組織のマネジメントにも当てはまることだと痛切に感じる至言です。②などは弊社小宮の言う「お金を追うな、仕事を追え」など、原理原則、正しい考え方にも通じます。①は自社の創業の精神を失った企業は破綻する、とも言えましょうか。③はずばり、ビジョン無き組織を指すのではないでしょうか。

やや歴史を学ぶことへの私的な考えも挟んでしまいましたが、是非本書をはじめ、ちょうど年末年始、歴史との対話を楽しんで頂ければ幸いです。


お問い合わせCONTACT US

コンサルティング、セミナー、KC会員についてなど、
お気軽にご相談ください。