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推薦図書 「武士の家計簿-「加賀藩御算用者」の幕末維新」(磯田道史著)

経営のヒント
2022.01.28

本書は歴史学者の磯田道史先生が、江戸時代の加賀藩にてあって会計を担当していた武家(猪山家)の幕末~明治維新にフォーカスをあてた一冊です。この猪山家というのは会計技術を武器にして明治海軍にでも活用するのですが、堺雅人さんを主演として映画化もされています。この本を読んだ時に私が一番心に残っている一節をご紹介します。

 

「思うに、江戸時代の猪山家は、由緒家柄を重んじる藩組織のなかで蔑まれ続けてきた。ソロバン役という「賤業」についていたからである。ところが、幕藩社会が崩壊し、近代社会になると、この「賤しい技術」こそが渇望され重視されるようになった。由緒や家柄は藩内でのみ通用する価値である。藩という組織が消滅すれば、もう意味がなくなる。しかし、猪山家の会計技術は藩という組織の外でも通用する技術であった。この違いが猪山家を「年収三六〇〇万円」にし、由緒だけに頼って生きてきた士族を「年収一五〇万円」にした。」

 

この一節にあるような、その時は価値が高く、また低く評価されるものでも、環境が変わると高かったものが低くなり、低かったものが高くなるということは、しばしば歴史の中で見られるものであり、また一つの本質だと思います。
現代においても、かつてはシステム部門というのは会社の中で間接部門の位置づけであり、子会社化等によるコストダウンの対象にもなっていた時代が続きました。しかし今ではDX等のように企業の競争力の源泉にも位置付けられています。

 

私は、こうした歴史の環境変化の風雪に耐える大きなポイントの一つとして、「その時々の評価や権威に安住せず、常に技術等を磨く学習や工夫を続けること」が大事なのではないかなと思っています。

 

まさにこの本の猪山家は会計技術を磨くことにより明治維新という風雪を乗り越える事ができたのです。

更に環境変化が激しい現代においても、生き残る為には何が必要かを考えさせられる一冊です。


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