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今週の経済の動きと経営の切り口 ~社会の変化・課題とビジネスのあり方~

経済トピック
2022.02.05

別コラム「今週の日経新聞の数字トピック」の中から、特に経営やビジネスの現状や今後の洞察に関わるものを取り上げ、記載しています。

ご参考いただければと思います。

※数字トピックでも言及されている点は、数字トピックの番号を※()で記載しております。

 

■日本の人口問題と介護問題について

働きながら介護する人の数3,460,000人 高齢独居率19%。※(20)

日本の人口構造が社会に大きな影響を与えています。

中年以上の年齢の方は親が高齢であるため、相当数の人が介護に追われている実態があります。

また、一人寂しく人生を過ごす高齢者の方が増加しています。

有効求人倍率は「1.13倍」となっており、コロナ前における人手不足感はコロナの影響もあり引き続き落ち着きつつある状況と言えるかもしれません。※(1)

しかしながら、特定の業種においては人手不足感が継続しています。介護職については有効求人倍率は「3.7倍」となっており人手不足が相当深刻な状況です。

 

日本の人口構造は、当たり前ですが少子化が進み高齢化が進んでいます。介護職の人手不足はさらに進んでいく事はほぼ間違いないでしょう。介護の事業におけるAIやロボットの活用が切に求められる状況です。おそらく就職氷河期世代の私などが歳を取って介護を受ける頃には、人の温かみのある介護は期待しないほうがよいでしょうし、それが社会のためでもあると思っています。歳を取れば考え方も変わってくるかもしれませんが。。

また、本来は別の仕事で貢献できる人が介護に従事せざるをえなくなることによる生産性の低下も無視できません。経営者の皆様も従業員の方に実は隠れ介護を抱えている方も存在すると思われます。もちろん、ご両親を含め直接関係がある人の介護は道義的にも関わるべきと言う考え方もありますが、総合的に見た世の中への貢献と言うことも照らし合わせて判断する必要もあるでしょう。

それぞれの個人レベルでも、介護をアウトソースする事は必要なことでもあります。そのアウトソースをする担い手(介護職)も逼迫しており、またアウトソースをすることによるコスト負担もあると言うことで、非常に先の見通しが暗い状況ではあります。

ビジネスとしての介護事業を考える際には、介護事業における報酬上限規制があり事業における付加価値の上限が定まってしまっている状況です。

したがって、事業の付加価値が決まってしまっている以上、介護職に従事される方の人件費もその範囲内に制限されてしまうという根本問題もあります。

 

少子高齢化の未来は、30年以上前から問題提起されていたことです。人口動態はピータードラッカーも「マネジメント」などでも言及しているように非常に高い精度で予見しやすいのです。先が見えていたにもかかわらず抜本的な手が打てなかった。これは、経営にも共通することですが、長期的な視点に立てない、長期的な施策よりも短期的な施策を優先する、という組織の行動原理の表れの一つでもあります。また、民主主義が抱える根本問題でもあります。民主主義を構成する人(有権者)が中長期的に社会に良いことよりも短期的な施策を優先するため、短期的な施策に票が集まるということです。現在の岸田政権の支持率が依然高い(下落したものの59%)ことからも見てとれます。※(17)

 

経営者の皆様や経営陣の皆様は、高齢者になられた従業員の方や、実は高齢者の親の介護をしている働き盛りの方との接点があるものと思います。※(19) 日本の人口の3%以上(労働者人口で言えば5%以上の割合)の人が働きながら介護に関わっています。社員の皆さんやマネジメントチームの皆さんのプライベートの面についても目を向けて、仕事だけではなく負担状況を察知する姿勢も経営者やリーダーには必要なのだと思います。

 

■コロナウィルスの状況と今後の社会変化について

コロナの影響について。周辺の事情を見ているとデルタの時と比べて自身の健康問題に不安を抱く人よりも、自分が感染することにより周りに与える影響を心配する人の数が圧倒的に増えました。そして、オミクロンは重症化率がデルタの25分の1と言うことなので、なんとか我慢しようと思えば我慢できてしまう人が多くなったことも、ステルス感染者を増加させる要因になっていると思われます。

新型コロナウィルスを季節性インフルエンザと同じ取り扱いにするべきだという回答が60%であったという記事もありました。※(18) 季節性インフルエンザレベルの扱いになることで、体調の問題以外の社会的な問題(自分の感染で回りの方の社会的な活動を制限して迷惑をかけてしまうという心理的な負担)は解消されます。今の社会の状況は感染それ自体よりも、過度な規制による社会的な影響を恐れる少し異質なものになりつつあります。

やはり重症者数と死亡者数でその脅威の実態を図る必要があるのだと考えます。とは言え、企業経営においてはそのようなあるべき論を言いつつも、社会の制度がそこに追いついていない以上は、社会の制度に合わせて風評と法令遵守した対応が求められることも事実です。それが企業経営のリアルでもあります。

個人の意見を持ちつつも、それが中長期的に実現されることを想定しつつ、現状においては今の社会の風潮や規制に適合して経営を推進していかなければ社会の信用を失うと言うことも意識しておく必要があるでしょう。

 

コロナウィルスに対する対策も、高齢者の方は特に重症化率が高いと言うこともあり、今後コロナ以外のパンデミックが発生する場合も高齢化社会においてはさらにこのような事態がつきまとうことでしょう。国民に若い人が多い時代であれば、パンデミックもある程度気合で乗り切れる部分もあるかもしれませんが、今後さらに加速していく高齢者社会を意識すると、パンデミックの都度やはり人の生命を意識して過度に保守的な政策を取らざるを得ないでしょう。

それは、有権者が人口構造と連動する民主主義である以上、そして人命を優先する価値観(当たり前であるが)が存続する以上は明らかでしょう。だからこそ、企業経営においては今回のコロナウィルスで選ばれる衛生面や感染症予防に対する商品サービスは、今後もそれぞれの企業のBCP対策や今後の変動に対する備えとして一定の需要が継続するものと見て良いのかもしれません。

 

新型コロナウィルスの影響で、リアルとバーチャルがそれぞれ融合し始め同時に動き出す世界が発生しています。オンラインミーティング等を気軽に活用しはじめましたし、感染症等がない社会としてメタバースの社会というものが現実味を帯び始めています。

メタバースという仮想現実の社会においては、感染症の恐れもないし、高齢者の方や障害者の方など身体的にハンディキャップを持った方にもリアルよりも過ごしやすい環境が用意されることとなりそうです。※(12)

首都圏の集中度合いが、コロナによって地方などに分散されてくる動きがじわじわと出ていますが、実はリアルの社会からメタバースなどのバーチャルの世界への移動といったものも具体的に考えていく必要があるのだろうと思います。とは言え、メタバースの社会で生きるといってもリアルの世界に戻って食事を取る必要などはあるのでしょうから、メタバースの社会で栄養の補給も完結されるような遠い将来までの間は、普通に考えて例えばテレビゲームをしている間に人間がやらなければいけないことに対する需要は継続するものと考えられます。

また、介護においてもメタバースの世界とつなげることによってより充実した高齢者としての生き方が提供できる可能性もあり、それが認知症の防止などにもつながってくる可能性もあります。

 

このように考えると、介護問題と高齢化社会(人口構造)、コロナとメタバースなどは時間軸を伸ばして考えると相互に関連しているものであると実感します。

 

 


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